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独りの部屋
第4章 【雨音に紛れて】
ワイングラスに残った赤が、揺れている。
外は雨。静かで、でもどこか騒がしい夜。

「久しぶりだね」
低く落ち着いた声が、グラス越しに響いた。
五年ぶりの再会。忘れたふりをしていた名前が、今は指先の温度に変わる。

私の手の甲を、彼の親指が撫でる。
なぞるような、思い出を掘り起こすような、その動きに息が詰まる。

「…こんな風になるなんて、思ってなかった」
「嘘だ」
彼は囁いて、私の髪に顔をうずめた。
鼻先がこめかみをくすぐり、ゆっくりと耳たぶをなぞってくる。

「全部、覚えてる」
耳元でそう言うと、唇が頬に落ちた。ひどく湿っていて、熱い。
そのまま顎を伝って、首筋へ――吐息とともに、私の身体を溶かしていく。

ブラウスのボタンが、ひとつ、ふたつ。
ゆっくりと外されていくたび、過去も一緒に剥がされていく気がした。

「忘れられなかったんだ。あの夜の、きみを」
彼の指先が胸元に滑り込み、濡れた花びらのように私を開いていく。
呼吸とともに、過去が、甘く震える快感に変わってゆく。

窓の外の雨は、まだやまない。
けれどその音はもう、ふたりの吐息に溶けていった――。

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