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独りの部屋
第14章 溺れるくちづけ
「全部、舌でしてあげる」
そう囁いて、彼女は私の脚をそっとひらいた。
浴衣をめくる彼女の手のひらは、少し汗ばんでいて――
それが妙にいやらしくて、鼓動が跳ねる。

唇が、太ももの内側にふれた。
そこから先は、すべて舌。
くちびるをつけるように、湿った舌が、肌を撫でていく。
花びらの外縁をゆっくりと、何度も往復しながら、彼女は味わうように舌を這わせる。

「もう、濡れてるね……」
ひと舐めごとに、熱が増していく。

ついに舌先が、いちばん敏感な粒をつつく。
ちろり、ちろりと左右に揺らし、やがて上下に……
舌先がそこに吸いついて、くるり、と円を描いた瞬間――
腰が跳ねる。

「んっ……やだ……きもち、いい……」
恥ずかしいのに、逃げられない。

今度は、彼女が口を開き、小さなつぼみを舌で巻きこみながら吸い上げてくる。
ぴちゃっ、じゅる……。
舌の平と先端を交互に使いながら、何度も何度も、執拗に舐められる。

舌が少し尖って、粒の先端をつつきあげる。
ゆっくり、ねっとり、弧を描くように押しつぶされるたび、
全身の力が抜けていく。

「ねぇ……まだ、もっと……」
言葉にならない声が、喉の奥で震えた。

彼女は笑って、さらに奥に顔を沈める。
花びらを割りひろげ、舌を深く差し入れてくる。
舌が中をくちゅり、くちゅりと蠢きながら、ぬるんと奥をえぐる。
そのたびに、甘い音が布団のなかで反響する。

「こんなに、舌だけで……気持ちよくなれるんだ」
何度も舌を突き入れられ、巻かれ、吸われて――
私は溶けきって、彼女の舌の上で果てた。

唇を拭うことなく、彼女がそっとキスを落とす。
私の中の味をまとった舌で、ふたりのくちづけが混ざった。

「また、していい?」
そう聞かれたときには、もう答えられないくらい、快感に呑まれていた。

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