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木漏れ日をすくう手
第7章 蝉の声、ひとやすみ

蝉が鳴き始めたのは、期末試験の最終日だった。
答案用紙を提出したあと、校舎の外へ出ると、焼けたアスファルトの匂いと、じりじりした日差しが夏の訪れを告げていた。
誰かに誘われる前に、葵はひとりで階段を下り、保健室へと向かった。
扉をノックすると、いつものように、椎名先生のやわらかい声が返ってくる。
「どうぞ。……あ、葵ちゃん。試験、終わった?」
「はい。もう、ぐったりです……」
椎名先生は笑って、冷たい麦茶の入ったグラスを差し出した。
それだけで、体に涼しい風が通ったような気がした。
答案用紙を提出したあと、校舎の外へ出ると、焼けたアスファルトの匂いと、じりじりした日差しが夏の訪れを告げていた。
誰かに誘われる前に、葵はひとりで階段を下り、保健室へと向かった。
扉をノックすると、いつものように、椎名先生のやわらかい声が返ってくる。
「どうぞ。……あ、葵ちゃん。試験、終わった?」
「はい。もう、ぐったりです……」
椎名先生は笑って、冷たい麦茶の入ったグラスを差し出した。
それだけで、体に涼しい風が通ったような気がした。

