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わたしのお散歩日記
第2章 錆びた看板
 古いブロック塀に打ち付けられた看板。すっかり錆びついてしまっていて文字が辛うじて読める程度。「景勝閣」という旅館の広告。この街から車で三十分くらい行ったところの海岸沿いにあったはず。中学生のときに部活の夏休みの合宿で泊まった記憶がある。そのときは顧問の女先生に引率されてみんなで電車に乗って行った。下りた駅から小一時間歩かされたのではなかったか。

 お昼前にようやく海辺の松林の中に建っている旅館に着いた。立派な和風の建物で、玄関の横には黒地に白く『歓迎 〇〇中学校御一同様』と書かれた板が立てかけられていた。隣にもう一枚『歓迎 △△中学校御一同様』という板も並んでいた。『△△中学校』というのは同じ地区の強豪校で、地区大会ではだいたい優勝していた。

 わたしの学校の顧問の先生は二十五歳くらいで、M本先生という人だった。背は高かかったが、すらっとした感じ…というか、ひょろっとした感じと言った方が合っているように思えた。性格もおとなしくて練習のときも試合のときも、わたしたちが怒られたりするようなことはなかった。

 M本先生は、△△中学校の顧問の先生と同じ大学の後輩だったから、合宿を一緒に行うという話がまとまったようだった。『まとまった』というよりは先輩の先生に言われるがままに決まってしまったようだった。〇〇中学校は△△中学校の格下のような存在だったから、△△中学校の生徒たちは、大会で会ったりしても、わたしたちを見下しているような感じだった。

 △△中学校の子たちは、大会の本番でもミスしたりすると顧問の先生から怒鳴られたり頭をはたかれたりしていたから、それは可哀そうには思っていたけど、だからといって、合同合宿の話を聞いたときにはあまりいい気分ではなかった。M本先生の表情もそんなに明るいものではなかった。

 『強い学校と一緒に練習できてうれしいです』

 キャプテンをしていたキクちゃんが先生を慰めるように言ったのを憶えている。

 旅館に着くと割り振られた部屋に荷物を置いてすぐにお昼ごはんを食べた。食べ終わるとユニフォームに着替えて、近くの□□中学校の体育館に行った。三つの中学校が集まって三日間、合同練習をしたり練習試合をする計画になっていた。わたしたちは△△中学校と対戦してコテンパンにやっつけられた。その日の練習が終わり旅館に戻りお風呂に入った。
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