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誰にも言えない、紗也香先生
第8章 審判不在

終わった後、
部屋の中には、ほんの少しだけ熱が引いた空気が流れていた。
ベッドの上、リザと私は、まだ裸のまま。
縄にしっかりと封じられた後ろ手の拘束、
身体には菱形の縄の跡が、美しい赤の模様となって残っている。
まるで二人とも、見えない帯に包まれた贈り物のようだった。
仰向けに横たわるふたり、肩と腰はほとんど触れ合っていて、
でも一番近くにあるのは――口と口。
そこだけは、「休憩中」なんて言葉とは無縁だった。
リザの舌が、私の中でゆっくりと泳ぎ、
私もまた、息を合わせるようにその舌を包み返す。
熱は引かずに、細く長く、火種のようにくすぶっていた。
目を閉じると、遠くで微かに蝋燭の芯が揺れる音が聞こえる。
ベッドが軋むほどの動きではない、
ただ唇と唇だけが、確かに触れ合っている――そんな密やかな時間。
どちらが先かも分からない吐息が重なり、
時折、縄のきしむ音が小さく響く。
やがて――
その熱の中心に、ひとつの影が近づいてきた。
「……おふたりとも、休憩……してませんね♡」
アリスが、静かにベッドサイドに現れた。
彼女は、身体を包むものは何も着けておらず、
ただ一枚、白いエプロンを胸に結んだだけの姿。
その裾が揺れるたびに、脚のラインが陽炎のように透けて見える。
彼女の手には――
左に赤い蝋燭、
右には、ゆるやかにカーブした、U字型の双頭器具が握られていた。
それはまるで、彼女が新しい審判ではなく、
静かに忍び寄る悪戯そのものであるかのように見えた。
アリスはふたりのキスを見ながら、微笑む。
「……それじゃ、次の支度、始めますね?」
彼女の声は、白く光るエプロンと同じく、
柔らかく、でも決して逆らえない清らかな命令のようだった。
部屋の中には、ほんの少しだけ熱が引いた空気が流れていた。
ベッドの上、リザと私は、まだ裸のまま。
縄にしっかりと封じられた後ろ手の拘束、
身体には菱形の縄の跡が、美しい赤の模様となって残っている。
まるで二人とも、見えない帯に包まれた贈り物のようだった。
仰向けに横たわるふたり、肩と腰はほとんど触れ合っていて、
でも一番近くにあるのは――口と口。
そこだけは、「休憩中」なんて言葉とは無縁だった。
リザの舌が、私の中でゆっくりと泳ぎ、
私もまた、息を合わせるようにその舌を包み返す。
熱は引かずに、細く長く、火種のようにくすぶっていた。
目を閉じると、遠くで微かに蝋燭の芯が揺れる音が聞こえる。
ベッドが軋むほどの動きではない、
ただ唇と唇だけが、確かに触れ合っている――そんな密やかな時間。
どちらが先かも分からない吐息が重なり、
時折、縄のきしむ音が小さく響く。
やがて――
その熱の中心に、ひとつの影が近づいてきた。
「……おふたりとも、休憩……してませんね♡」
アリスが、静かにベッドサイドに現れた。
彼女は、身体を包むものは何も着けておらず、
ただ一枚、白いエプロンを胸に結んだだけの姿。
その裾が揺れるたびに、脚のラインが陽炎のように透けて見える。
彼女の手には――
左に赤い蝋燭、
右には、ゆるやかにカーブした、U字型の双頭器具が握られていた。
それはまるで、彼女が新しい審判ではなく、
静かに忍び寄る悪戯そのものであるかのように見えた。
アリスはふたりのキスを見ながら、微笑む。
「……それじゃ、次の支度、始めますね?」
彼女の声は、白く光るエプロンと同じく、
柔らかく、でも決して逆らえない清らかな命令のようだった。

