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誰にも言えない、紗也香先生
第10章 さようなら、アリス

――空港、ゲート前
「ロンドン行きゲート4、最終案内です――」
アナウンスが静かに流れる中、
アリスは英国のお嬢様らしく、可憐にドレスを整えていた…かと思いきや。
「さっ、サヤ様! 出発前に、最後に……私、キスしたいですのっ!」
勢いよく私に飛びつこうとしたアリスを、
後ろからリザが見事なヘッドロックで止めた。
「こらこら、そろそろ行かないと。ほら、アナウンス聞こえてるでしょ」
リザは笑いながら言う。その腕の中でアリスはじたばた。
「バウンド・フォー・ロンドン」と、PAが再び流れた時、
ようやく解放されたアリスは、名残惜しそうにゲートをくぐっていく。
そして振り返り、大声で。
「サヤ様の中のお汁、忘れないよーっ!」
「……サヤの……手料理の、味噌汁ね。うん、日本語、ちゃんと勉強してね」
すかさずリザがナイスフォローを入れてくれた。
でもその次に、さらに堂々と、
「サヤの美味しい蜜は、またたっぷりいただきに来てくださいね〜!」
リザの声が響き渡り、周囲の人々が一斉にこちらを向いた。
私は思わずリザの背中に顔を埋める。
「も、もう……ばかっ……」
声にならないほど、心が熱くて、くすぐったくて。
それでも、アリスとリザが互いに投げたウインクとピースサインは、「秘密の約束」のようでした。
そして――
アリスの細い背中が人波に消えていく頃、
リザが静かに私の耳元で囁いた。
「もう、行こうか、サヤ」
その背に頬を寄せながら、ふと視線を落とすと――
リザのバッグの中、ちらりと覗く「赤いベルト」の艶。
「ロンドン行きゲート4、最終案内です――」
アナウンスが静かに流れる中、
アリスは英国のお嬢様らしく、可憐にドレスを整えていた…かと思いきや。
「さっ、サヤ様! 出発前に、最後に……私、キスしたいですのっ!」
勢いよく私に飛びつこうとしたアリスを、
後ろからリザが見事なヘッドロックで止めた。
「こらこら、そろそろ行かないと。ほら、アナウンス聞こえてるでしょ」
リザは笑いながら言う。その腕の中でアリスはじたばた。
「バウンド・フォー・ロンドン」と、PAが再び流れた時、
ようやく解放されたアリスは、名残惜しそうにゲートをくぐっていく。
そして振り返り、大声で。
「サヤ様の中のお汁、忘れないよーっ!」
「……サヤの……手料理の、味噌汁ね。うん、日本語、ちゃんと勉強してね」
すかさずリザがナイスフォローを入れてくれた。
でもその次に、さらに堂々と、
「サヤの美味しい蜜は、またたっぷりいただきに来てくださいね〜!」
リザの声が響き渡り、周囲の人々が一斉にこちらを向いた。
私は思わずリザの背中に顔を埋める。
「も、もう……ばかっ……」
声にならないほど、心が熱くて、くすぐったくて。
それでも、アリスとリザが互いに投げたウインクとピースサインは、「秘密の約束」のようでした。
そして――
アリスの細い背中が人波に消えていく頃、
リザが静かに私の耳元で囁いた。
「もう、行こうか、サヤ」
その背に頬を寄せながら、ふと視線を落とすと――
リザのバッグの中、ちらりと覗く「赤いベルト」の艶。

