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わたしの昼下がり
第3章 募る想い
 あの男が次に来ると言ったのは「2週間後」でした。わたしは悶々として日々を過ごしました。お腹の下の方がずっと疼くんです。疼いたままなんです。お腹の中に何かを仕込まれたんじゃないか…って思うくらいです。

 ゴミを出す日の井戸端会議も上の空のような感じ。早く部屋に戻りたいけど変に勘繰られるのもいやなので仕方なく付き合っています。まだ、セールスマンの話題が上ったら聞き耳を立てていたでしょうけど、奥さま連中の関心は他のことに移ってしまったようで、いつものようにどうでもいい話が続いています。

 「2日後」でも、せめて「1週間後」でもなく「2週間後」。1年後ではなかっただけマシなのでしょうか。もとより彦星と織姫などではありません。男をくわえ込みたいと願っていた三十路女が思っていたような男に出逢ったのです。逢えるものなら毎日でも逢いたい…。

 体の相性はいいと思いました。少なくともわたしにとっては。くずぶるばかりで火が付くことがなかった薪にめらめらと炎があがり炭になるまで燃やされつくしたような気分でした。向こうにしても相性は悪くなかったのでは。初見のわたしに三度は射精していったのですから。だからこそ再訪するとも言ったのでしょう。それにしてもこんな気持ちにさせておいて2週間後だなんて…辛い。

 ようやくわたしは思い至りました。あの男にはきっとあちこちにわたしのような女がいるのでしょう。あちこちの団地を訪ねては、まぐわう女を囲っているのかもしれない…。その顔触れに加えられたのなら…光栄とまでは言わないけど、悪くはないと思いました。順番が回ってくるのは2週間に一度というのは耐え難いけど。でも、2週間に一度といっても夫との頻度よりはよほど多いのですからほどほどの間合いということなのでしょうか。

 『一目見て奥さんとは『オトナの付き合い』ができると思ったんですよ。思ったとおりでした』

 あの男はそう言っていました。『オトナの付き合いができる』女って、要は『都合のいい女』ってことですよね。男にとっての都合のいい言い訳に過ぎないとわかっていても、なぜか褒められたかのような気分にさせられてしまいます。巧妙に自尊心をくすぐられてしまっているだけとはわかっているのですけど。それにわたしにとってもあの男は『都合のいい男』なのだから…。
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