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わたしの昼下がり
第2章 よろめく
 △井がドアを音もたてずに閉めて出て行きました。わたしはまだうずうずと疼く火照った秘部のぬめりをティッシュペーパーで拭っています。

 (本当に…来て…くれるのかしら…)

 わたしは久しぶりにセックスの悦びを味わったことも忘れて不安な気持ちにとらわれます。△井にとっては、わたしの『ご都合』が悪ければどこかほかの家を訪ねればいいだけなのでしょうから。壁に掛かるカレンダーを眺めます。特になんの予定もありません。いえ、カレンダーを眺めて考えていたのは予定の有り無しよりも、わたしのからだのバイオリズム…。△井が『膣内《なか》で射精《だ》させてもらえるとは思ってませんでしたよ…』と言っていたのを思いながら。

 △井が出て行ってからしばらくしてまず下の娘が帰ってきました。△井は2時間ほどいたことになります。

 「ママ、ただいま。おやつちょうだい」
 「手をよく洗ってからね…」

 わたしは冷蔵庫を開けてゼリーを取り出しました。屈んだときにわたしのからだの中からあの男の名残りが滲み出てくるのを感じました。

 上の娘も帰ってきました。

 「あ、おやつ、ゼリーなんだ。わたしも食べたい。…おかあさん、どうしたの?」
 「えっ?」
 「風邪ひいたの? なんだか顔が赤いよ」
 「大丈夫よ。心配してくれてありがとね」

 わたしは母の顔をして応えました。
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