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わたしの昼下がり
第43章 鍵
「だからと言って、ここにも鍵を掛けられたらボクは悲しいですよ」
口ではそう言いながら、この孔に合う鍵を持っているのは自分とでも言いたげに笑っている。
(わたしが鍵を掛ける訳ないじゃありませんか…)
わたしがそう思っていることは△井は百も承知だろうが、わたしにそんなことを言わせたりはしない。
「じゃ…」
ついさっき油を差したばかりの孔に鍵を差し込んでくる。
「大丈夫ですよ。鍵は掛かっていますから」
そう言われて、ふと誰かがこの場に立ち入ってきたら…などと思う。「誰か」と言ったら、家の鍵を持っているのは夫しかいない。今まで、急に昼間に帰って来たことはないけれど、ただ、それは今まで一度もなかったというだけ…。
「奥さん、いい感じですよ。初めてお逢いしたときみたいだ」
初めてのときのことはあまり覚えていないが、わたしもいつの間にか「慢心」していたのかもしれない。△井が何度もこの団地に来ていることも、□田さんみたいな人ならもう気付いていたりするのかもしれない。
「これからもいいお付き合いを続けたいものですね。よろしくお願いしますよ」
付き合いを続けていくためにも「慢心」を戒めなければ。そう思ったのも束の間だった。△井が腰を深く進め、わたしの奥まで鍵が届く。ゆっくりとした抜き差しの度に音が聞こえてくると、わたしの鍵はひとたまりもなく開けられた。
下校の時刻を告げるチャイムが聞こえてくる。ほどなく娘たちが帰ってくる。
「なんだかんだと言いながら、結局、この時間までお邪魔してしまいましたね。ご主人ともちゃんとなさっておいてくださいね」
△井が玄関から出ていく。わたしは中から鍵を掛け、シャワーを浴びて△井との名残りを洗い流した。洗面台の鏡で自分の顔を確認していたところで、鍵を持たせていない娘たちが帰ってきた。呼び鈴が鳴って、わたしは鍵を開けた。
「ただいま。下で□田さんに会ったよ。これ、おかあさんに渡して、って」
娘が回覧板を預かってきた。
「あ、ありがと…」
わたしは、△井も□田さんとすれ違ったりしていないことを願った。
口ではそう言いながら、この孔に合う鍵を持っているのは自分とでも言いたげに笑っている。
(わたしが鍵を掛ける訳ないじゃありませんか…)
わたしがそう思っていることは△井は百も承知だろうが、わたしにそんなことを言わせたりはしない。
「じゃ…」
ついさっき油を差したばかりの孔に鍵を差し込んでくる。
「大丈夫ですよ。鍵は掛かっていますから」
そう言われて、ふと誰かがこの場に立ち入ってきたら…などと思う。「誰か」と言ったら、家の鍵を持っているのは夫しかいない。今まで、急に昼間に帰って来たことはないけれど、ただ、それは今まで一度もなかったというだけ…。
「奥さん、いい感じですよ。初めてお逢いしたときみたいだ」
初めてのときのことはあまり覚えていないが、わたしもいつの間にか「慢心」していたのかもしれない。△井が何度もこの団地に来ていることも、□田さんみたいな人ならもう気付いていたりするのかもしれない。
「これからもいいお付き合いを続けたいものですね。よろしくお願いしますよ」
付き合いを続けていくためにも「慢心」を戒めなければ。そう思ったのも束の間だった。△井が腰を深く進め、わたしの奥まで鍵が届く。ゆっくりとした抜き差しの度に音が聞こえてくると、わたしの鍵はひとたまりもなく開けられた。
下校の時刻を告げるチャイムが聞こえてくる。ほどなく娘たちが帰ってくる。
「なんだかんだと言いながら、結局、この時間までお邪魔してしまいましたね。ご主人ともちゃんとなさっておいてくださいね」
△井が玄関から出ていく。わたしは中から鍵を掛け、シャワーを浴びて△井との名残りを洗い流した。洗面台の鏡で自分の顔を確認していたところで、鍵を持たせていない娘たちが帰ってきた。呼び鈴が鳴って、わたしは鍵を開けた。
「ただいま。下で□田さんに会ったよ。これ、おかあさんに渡して、って」
娘が回覧板を預かってきた。
「あ、ありがと…」
わたしは、△井も□田さんとすれ違ったりしていないことを願った。

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