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わたしの昼下がり
第4章 訪ねてきた男(2)
 そんなふうに『さばけた』ひとが『ごくごく普通の』主婦だったりするのでしょうか。でも、△井の話しぶりは、自慢げなところや話を作っているような感じもなく、淡々と事実を話しているように見えました。それだけに、△井が今日のようなことをあちこちで繰り返してきていることを思わせました。

 (いろいろ、お詳しいのですね…)

 そう訊いてみたくなります。素直にそう思っただけでしたが、皮肉のように聞こえるだろうとも思えました。日頃からそのようなことをしている△井だからこそ、わたしのような女も抱こうと思ったのでしょうから。そのようなことを気にするよりも、わたしもいきいきとしてみたいという思いが募りました。

 (これきりで終わりにしてしまったら、これからの暮らしに耐えていけなくなるわよ。それでもいいの…?)

 そう思うわたしの心のうちを読んでくれたのでしょうか、△井が囁きます。

 『明日にでも…』

 (明日…)

 『明日にでも…またお邪魔したいところですが、たびたび人目については奥さんも御迷惑でしょうから…そうですね…2週間後くらいにまた…今日と同じくらいの時間でよろしいですか』

 (2週間…)

 『では2週間後に…。ああ…もちろんのことですが、急にご都合が悪くなったりご不在になったりしていても全く構いませんから。チャイムを鳴らしてしばらく何もなければおとなしく帰りますので』

 わたしは黙っていたままでしたが、断るはずもないと△井は確信しているようです。次に訪ねてくる日にちを決めると、手早くスーツ姿に戻っていきました。細かい段取りがこうした情事の経験が豊富なことを思わせました。

 『次回が楽しみです』

 そう言ってわたしの唇をひとしきり貪ります。今さらながら、一線を超えてしまったことが身に染みました。

 『ほんと、秘密があった方が、人間、強くなれるものですよ。ご主人ともちゃんとなさってくださいね。秘密を守るためです。指輪もそのまましておいてくださいね…』

 それなりにあった交渉が急になくなれば、夫に怪しまれたりするきっかけになるのでしょう。わたしにはそのような心配はありませんが…。

 『いや、ほんと…膣内《なか》で射精《だ》させてもらえるとは思ってませんでしたよ…。奥さんとボクだけの秘密です…』
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