この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
わたしの昼下がり
第39章 連れ込み旅館で(2)
二時間のときと同じ料金でした。
「『潮騒』でよかったですかね。今日こそはどの部屋でも選び放題でしたが」
全ての部屋が空いているような時間から、このような場所に来ていることを思いました。ただ、『選び放題』と言っても、部屋の様子の説明があるわけでもなく名前でしか選びようがないのですが。
そのうち、どの部屋の様子も知ることになるのでしょうか…。どうしても部屋を決めるように言われたら、わたしも『潮騒の間』を選んでいただろうと思いました。
「構いません」
廊下を通って『潮騒の間』の前まで来ます。
「一途なんですよね。ボクも奥さんも」
△井が笑っています。”一途”が部屋選びのことなのか、それだけではないのかわかりませんが。
△井が扉の鍵を開けます。今日も、古い畳と洗剤の混ざったような匂いがしなす。今日も△井とこのような場所に来たことを意識しました。
「やっぱり畳の部屋も悪くないですな。奥さんはどうですか?」
「…いいと思います」
「そうですよね。気に入っていただいているようでよかった。この前のホテルはちょっと派手と言うか、けばけばしかったですからね。まあ、けばけばしいのも悪くはないんだが」
△井が小机の横に座布団を並べて腰を下ろすと、タバコに火を付けました。
「ボクらもすっかり常連ですからね。帳場のばあさんも愛想がいい」
どれぐらいの頻度で訪ねたら『常連』なのでしょうか。確かに間隔は短くなってきてはいるかもしれません。△井がわたしに座布団を勧めます。
「奥さんもくつろいでください。部屋に入ってさえしまえば、団地よりは落ち着くでしょう?」
確かに窓やカーテンの開け閉めや、誰かが外を行き交う物音を気にする必要はありません。
「好きなんですよ。奥さんの声が」
そうです。団地で一番気になるのは、思わず上げてしまう声のこと…。
「ここは、そういうことをするためだけの場所ですからね。それがいい」
△井は前にも同じようなことを言っていました。
「ここに来れば普段と違う奥さんを味わえますからね。いや、普段の奥さんを味わえると言うべきか…」
「『潮騒』でよかったですかね。今日こそはどの部屋でも選び放題でしたが」
全ての部屋が空いているような時間から、このような場所に来ていることを思いました。ただ、『選び放題』と言っても、部屋の様子の説明があるわけでもなく名前でしか選びようがないのですが。
そのうち、どの部屋の様子も知ることになるのでしょうか…。どうしても部屋を決めるように言われたら、わたしも『潮騒の間』を選んでいただろうと思いました。
「構いません」
廊下を通って『潮騒の間』の前まで来ます。
「一途なんですよね。ボクも奥さんも」
△井が笑っています。”一途”が部屋選びのことなのか、それだけではないのかわかりませんが。
△井が扉の鍵を開けます。今日も、古い畳と洗剤の混ざったような匂いがしなす。今日も△井とこのような場所に来たことを意識しました。
「やっぱり畳の部屋も悪くないですな。奥さんはどうですか?」
「…いいと思います」
「そうですよね。気に入っていただいているようでよかった。この前のホテルはちょっと派手と言うか、けばけばしかったですからね。まあ、けばけばしいのも悪くはないんだが」
△井が小机の横に座布団を並べて腰を下ろすと、タバコに火を付けました。
「ボクらもすっかり常連ですからね。帳場のばあさんも愛想がいい」
どれぐらいの頻度で訪ねたら『常連』なのでしょうか。確かに間隔は短くなってきてはいるかもしれません。△井がわたしに座布団を勧めます。
「奥さんもくつろいでください。部屋に入ってさえしまえば、団地よりは落ち着くでしょう?」
確かに窓やカーテンの開け閉めや、誰かが外を行き交う物音を気にする必要はありません。
「好きなんですよ。奥さんの声が」
そうです。団地で一番気になるのは、思わず上げてしまう声のこと…。
「ここは、そういうことをするためだけの場所ですからね。それがいい」
△井は前にも同じようなことを言っていました。
「ここに来れば普段と違う奥さんを味わえますからね。いや、普段の奥さんを味わえると言うべきか…」

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


