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わたしの放課後
第14章 母との会話
いつもの朝。わたしは自分の部屋から階下のリビングへ。食卓にはすでに朝ごはんが並んでいる。わたしが席に着くと母がごはんとお味噌汁をよそってくれる。母と向き合っての朝食。お椀を持つ母の白い手。薬指には指輪。母からお父さんが選んでくれたと聞いたことがある。その指輪をはめた手で彼の背中を抱いているのだろう。彼は指輪を外してほしいとは言わないのだろうか。言われているけど母が受け流しているのだろうか。いずれ終わる関係だと割り切っているのだろうか。
わたしにしてもおじさんとの関係はいつまで続くのかと思いが頭を過ることがある。おじさんに抱かれているそのただ中でさえ。わたしはそんな思いを振り切ろうとおじさんを抱きしめる。抱き着くというほうが近いかもしれない。いずれ終わる関係だと割り切ることなんてできない。母の彼よりおじさんのほうがずっとずっと年上なのに。“母と同じような関係”のはずなのに、わたしのほうがずっとずっと深く踏み込んでしまっているのだろうか。
「今日は彼が来る日だよね?」
わたしはさり気なく訊いてみた。
「ん? ああ、今日は来ないわ」
「えっ、どうして?」
「彼だって若いんだから。わたしが独り占めしているわけにはいかないでしょ」
母は笑顔でいるが、その笑顔が気になった。そして急に母がかわいそうに思えた。
「そ、そんな…。それって、彼が二股かけてるっていうことじゃないの…」
つい語気が強くなってしまった。
「あら、そんな気を遣ってくれるの? やさしいのね」
「だ、だって…」
「二股かけているのはわたしだってそうなんだから、かけられるのもお互い様でしょ」
そう言えばそうだった。いちばんかわいそうなのは父なのかもしれない。でも、そのときは父のことは、正直なところ頭に一切浮かばなかった。
「そうかもしれないけど…。でも、わたし…」
声が震えてしまった。女どうしの身勝手な同情なのかもしれないけど。
「お母さんは…」
言葉を探しているうちに、涙がにじんだ。
「傷ついてるんじゃないの?」
わたしにしてもおじさんとの関係はいつまで続くのかと思いが頭を過ることがある。おじさんに抱かれているそのただ中でさえ。わたしはそんな思いを振り切ろうとおじさんを抱きしめる。抱き着くというほうが近いかもしれない。いずれ終わる関係だと割り切ることなんてできない。母の彼よりおじさんのほうがずっとずっと年上なのに。“母と同じような関係”のはずなのに、わたしのほうがずっとずっと深く踏み込んでしまっているのだろうか。
「今日は彼が来る日だよね?」
わたしはさり気なく訊いてみた。
「ん? ああ、今日は来ないわ」
「えっ、どうして?」
「彼だって若いんだから。わたしが独り占めしているわけにはいかないでしょ」
母は笑顔でいるが、その笑顔が気になった。そして急に母がかわいそうに思えた。
「そ、そんな…。それって、彼が二股かけてるっていうことじゃないの…」
つい語気が強くなってしまった。
「あら、そんな気を遣ってくれるの? やさしいのね」
「だ、だって…」
「二股かけているのはわたしだってそうなんだから、かけられるのもお互い様でしょ」
そう言えばそうだった。いちばんかわいそうなのは父なのかもしれない。でも、そのときは父のことは、正直なところ頭に一切浮かばなかった。
「そうかもしれないけど…。でも、わたし…」
声が震えてしまった。女どうしの身勝手な同情なのかもしれないけど。
「お母さんは…」
言葉を探しているうちに、涙がにじんだ。
「傷ついてるんじゃないの?」

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