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溶け合う煙のいざないに
第3章 欲望の赴くままに

苦しさで頭がぼーっとして、咥内の感触だけが脳を酔わせてくる。
「はっ……んんん」
だめだ。このままじゃ、嫌な声が漏れてしまう。
下になる時の自分の声だけは、興ざめする。
眼を開いてかすかに首を振る。拒絶に気づいた遥望はあっさりと唇を離して、荒い吐息だけが溶け合う。どうしたの、と尋ねてくる視線を真っすぐ受け止めて、呼吸を整える。
くそ、どんだけ反応してるんだよ。硬くなった下腹部の張りも情けないが、首も胸も刺激を待つように感覚が過敏になっているのに気づいて辟易する。
「はあ……あー……しつこい」
手首をぐっと引き寄せて拘束から逃れると、口元をぐいっと拭った。
「苦しいのは、好きじゃない」
違う理由を、と引き出したがピンとこない。遥望も納得してないように眉を潜めて、額が触れ合うくらいに顔を近づけた。
「イキそうな目してたのに」
ああ、そうだ。この熱が落ち着くまで雑談に逃げないと。
「重いから……はあ、息、止まりそうだったんだよ……」
「こんなに喜んでたのに?」
大きな手で陰茎を緩く包まれ、高い声が跳ね上がった。反射的に左手で目を覆って暗闇に逃げ込む。何も聞いてないと、自分を騙したい。
今しがた鼓膜を揺らした声の余韻が、びりびりと首筋を痺れさせる。
なに。
なに、今の。
見下ろした顔は、目は見えないけれど赤みが増しているのがわかる。首筋にしゃぶりついてもう一度声を出させたい衝動を、ぎりぎりで押さえこんで拳を握った。
「鐘二さん……今の」
「やめろ」
低い唸るような命令に、忠犬の唇がぎゅっと閉じる。
でも、どうしよう。わかってしまった。
もどかしく下唇を噛みながら、目を泳がせる。
普段の低く落ち着いた声とのギャップがえげつない、甘い声が出てしまうということ。それは決して上の時には出てこない、パンドラの匣。おそるおそる左手で、目を覆う手を掴んで外すと、壁を向いたままの眼と視線が重なることはなかった。
「久々……なんだ。ここ数年、満足いく相手にも巡らなかったし」
掠れた声が今すぐ抱きつぶしたい欲をくすぐるが、耐えないと。この瞬間に間違ってしまえば、もうこの人に会うことがなくなってしまう。
「あ……喘ぐのが、苦手なんだ」
「はっ……んんん」
だめだ。このままじゃ、嫌な声が漏れてしまう。
下になる時の自分の声だけは、興ざめする。
眼を開いてかすかに首を振る。拒絶に気づいた遥望はあっさりと唇を離して、荒い吐息だけが溶け合う。どうしたの、と尋ねてくる視線を真っすぐ受け止めて、呼吸を整える。
くそ、どんだけ反応してるんだよ。硬くなった下腹部の張りも情けないが、首も胸も刺激を待つように感覚が過敏になっているのに気づいて辟易する。
「はあ……あー……しつこい」
手首をぐっと引き寄せて拘束から逃れると、口元をぐいっと拭った。
「苦しいのは、好きじゃない」
違う理由を、と引き出したがピンとこない。遥望も納得してないように眉を潜めて、額が触れ合うくらいに顔を近づけた。
「イキそうな目してたのに」
ああ、そうだ。この熱が落ち着くまで雑談に逃げないと。
「重いから……はあ、息、止まりそうだったんだよ……」
「こんなに喜んでたのに?」
大きな手で陰茎を緩く包まれ、高い声が跳ね上がった。反射的に左手で目を覆って暗闇に逃げ込む。何も聞いてないと、自分を騙したい。
今しがた鼓膜を揺らした声の余韻が、びりびりと首筋を痺れさせる。
なに。
なに、今の。
見下ろした顔は、目は見えないけれど赤みが増しているのがわかる。首筋にしゃぶりついてもう一度声を出させたい衝動を、ぎりぎりで押さえこんで拳を握った。
「鐘二さん……今の」
「やめろ」
低い唸るような命令に、忠犬の唇がぎゅっと閉じる。
でも、どうしよう。わかってしまった。
もどかしく下唇を噛みながら、目を泳がせる。
普段の低く落ち着いた声とのギャップがえげつない、甘い声が出てしまうということ。それは決して上の時には出てこない、パンドラの匣。おそるおそる左手で、目を覆う手を掴んで外すと、壁を向いたままの眼と視線が重なることはなかった。
「久々……なんだ。ここ数年、満足いく相手にも巡らなかったし」
掠れた声が今すぐ抱きつぶしたい欲をくすぐるが、耐えないと。この瞬間に間違ってしまえば、もうこの人に会うことがなくなってしまう。
「あ……喘ぐのが、苦手なんだ」

