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溶け合う煙のいざないに
第3章 欲望の赴くままに

「鐘二さん口のなか弱いでしょ。エレベーターでキスした時からいっぱいいじってあげたいって思ってた。開けて。すっごい気持ちよくしてあげる」
図星を突かれて呼吸がさらに乱れる。今、この男を押しのけないのは、その期待があったからだ。震える舌先が爪に触れて、びくんと喉に逃げる。
「オレ待ってるんだよ。いいよ、ってしてくれるの」
こんな状況でも指導権はこちらだとボールを投げられ、脱力して顎の力を抜いた。想像以上にウワテなことで。
「……あ」
思ったより掠れた自分の声に嫌気が差す。侵入した親指が腹を上に向けて、ざらりと上あごの凹凸を撫でただけなのに。ぞわぞわとした悦びが押し寄せてくる。
長い指がじっくりと感触を堪能しながら咥内を進んでくるに従い、とめどなく唾液が指を伝っていく。息が上がる。無意識に遥望の指の背に舌を絡ませていた。それがねだるように必死だったから、このままではいけないと反対の手も添えて急いで引き抜こうとする。
「いいの?」
ぴしゃりと短い一言に、静止してしまう。
「もう少し我慢してくれたら、ぶっ飛ぶような甘いキスしてあげられるのに」
早く下ろせよ、簡単だろ。脳内の声は無責任だ。
止まった抵抗を肯定と受け取った遥望が嬉しそうに目を細めて、奥からゆっくり前に向かって歯肉を撫でる。口蓋と歯の間の滑らかな部分に触れると、ビクンと首が動いてしまう。
「あー……やっぱりここだ。不思議だよね。こんなつるつるしてるのに、ちゃんと感じるんだよ」
言い聞かせるように囁いて、つぷり、と指を引き抜いた。
開きっぱなしだった顎を閉じる間もなく掴まれて、長い舌が入ってきた。
「んん、んっ」
指が触れたところを復習するように柔らかい舌が這う。
ゆるりと舐めたところに感覚が集中した途端、硬くした先端で押しつぶされる。指とは比べ物にならない快感に目を閉じて浸る。じゅぷ、と唾液がぶつかる音が響く。
喉に流れてきた液をごくりと飲むのすら、舌が絡み合っているとぎこちない。脚を組む力も抜けて、そっと肩を押されたままに仰向けに倒れる。
機を図っていたように、伸ばした脚を跨いで上に乗り、両手首を掴む。大きな体に押しつぶされるようにして、口を貪られるのが、どうしてこんなにもぞくぞくとするのか。汗ばんだ胸板が密着して、肺が圧迫される。

