この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
溶け合う煙のいざないに
第3章 欲望の赴くままに

 隠さなくなった好意に笑ってしまう。相性がいいのはお互い様か。
 その唇をぐいっと親指で拭いてやると、恍惚な表情で笑みが広がった。
「良すぎた」
 シンプルな感想に笑いがこみ上げる。なんなんだよ、この男は。
「声やばかったな」
「我慢したんだけど」
「しなくていいのに」
「え、声よかったりする?」
「自覚ないのか」
「えっ」
 誉め言葉が喉元で止まった。素直に褒めてやるには反応が些か怖い。しっぽをぶんぶん振るのは目に見えているので、曖昧に頷いた。
「フェラの時思わなかったけど、硬さえぐくない」
「誰がブツの感想聞きたいんだよ……」
「そう? オレならいくらでも言われたいけど」
 視線を合わせるのも疲れて、天井を見上げる。黒い幾何学模様だったのか。
 シーツの湿気と熱が段々と空気に溶け消えて、快適な感触が眠気を誘う。けれど隣の男は微塵も終了のつもりはないらしく、熱が残る掌が肩を掴む。
「鐘二さんてさ……やっぱ次男?」
「ああ。もちろん」
 タバコが吸いたい。だが、起き上がって玄関まで取りに行くほどの気力はない。
「家族の話はしないからな」
「わかってる。長男か次男か知りたかっただけ」
 ふふ、と笑顔で鼻を指の関節で擦るのがやけに似合ってて、少年時代の姿すら想像が重なってしまう。きっと友達がたくさんいて、人を楽しませるタイプだったんだろう。
 真逆だ。
「夕飯でも頼むか」
「まだ七時前じゃん」
 予想通りの否定にそうだな、と返す。ぎし、と音を立てて座った遥望が乞うような両目を向ける。その眼には弱い。
「あ、あのさ……次は、鐘二さんの中を、知りたい」
 控えめな言葉の大胆な要求に瞼を下ろす。一晩で両方をプレイしたのは数えるほどだ。止まらない欲求に動物に落ちた若さゆえだ。今? どうだろう。
「三発も出したのに使えるのか?」
 ど真ん中の挑発で切り返すと、大真面目に頷かれてしまった。
「その、準備、してなかったら……」
「やめろ。お前がどっちもって言ったんだろ。用意ぐらいしてる」
 時が止まったように静まったのは、遥望の肺が仕事を辞めたからだろう。大きな目を見開いて、嘘みたいに驚いている。それからゆっくり視線が首から胸に落ちて、唇がだらしなく開く。眼の色変えやがって。
/33ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ