パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第3章 欲望の赴くままに

　全身が気持ちいいと叫んでいるようで、たまらず耳の下に吸い付いた。甲高い声が甘く鼓膜を濡らし、すがるように頭を抱きしめられる。噛んでほしい、という言葉を思い出し、耳朶を食む。ぐぐぐっと中がうねって、痛みと快感の波に呑まれる。
　びくびくと止まらない痙攣が、最後の一押しになった。
「あっ、ぐ……」
　熱いものが放たれて広がり包む安堵と虚無感は、何度経験しても鮮烈だ。
　額を押し当てあい、脱力して重なったまま横になった。
「や……ばい、って」
　仰向けの遥望は両腕で目を覆って浅く呼吸を繰り返す。余韻にびくつく腹筋の振動が心地いいが、冷たいシーツを求めて隣に転がる。何気なく腹に手を乗せると、ぴちゃりとした感触にふっと息が漏れてしまった。ああ、そういえば跳ねたんだった。
　そのまま手を下げていき、竿の半分ほどでしがみついているゴムを抜き取る。口を縛ってベッド脇の黒い箱に放って向き直ると、腕の隙間からじっと見られていた。
　横向きになったまま視線に応える。悔しそうに細くなった目が、何とも言えずに歪んだ。茶化す言葉も上手く出てこず、短く笑いながら腹に張り付いた白い液を指さす。直視してから気づいたようで、面白いように飛び起きた。
「ちょっ、待って！　今すぐ拭くから……」
　後ろ手にティッシュを抜き取った遥望が、何かを思いついたように固まった。腹部を凝視したまま、ゆっくり前傾して近づく。
「なに？」
　尋ねた後で意図に気づいた。視線は逸らさないまま、遥望が四つん這いになって顔をそこに沈める。ひちゃり、と音を立てて腹の筋を舐められた。まだ乱れている息がくすぐる。
「っは……変態」
「嬉しいでしょ？」
　ゆるゆると大きな舌で舐め上げられて肩に力が入る。拳を握って、声を抑えた。風呂場でフェラされた時とは異なる奇妙な高揚感。
　掃除をさせるように自分の精液を舐めとらせているのだから。
「もう、いいって」
　また昂りに熱がこもる前に、頬に手を添えて起き上がらせる。ぴたりとくっついて横向きに寝転んだ遥望が、にいっと濡れた口で微笑む。さっきまで必死に甘い声を発していた唇が、やけに艶めいて見える。
「自分のまで飲むの、抵抗ないのか」
「ないよ。まあ好きな人のが一番だけど」