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溶け合う煙のいざないに
第3章 欲望の赴くままに

顔が遠い、ねえ。そんな真っすぐぶつけられたら、こちらも揺らぐって。
金色のもみあげを指先で弄ってから、顔の両脇に手を突いて身を起こす。
「顔逸らすなよ。目、ちゃんと見て」
恥じらいの瞳が悔しそうにこちらを向いた。もうそこが定位置かのように口許を手で隠して、反対の手は枕をぎゅっと掴んでいる。
「まだ遠い?」
肘をまげて額が触れそうな距離に近づくと、わかりやすくギョッと眉が上がった。こうも曝け出されるとペースが持っていかれそうだ。
「だい、じょうぶ……だから」
否定しなかった好意の返事を求めるような視線を受け止める。
最初に会った時から勘づいていた。
喫茶店で確信に変わった。
ブックカフェで答え合わせをした。
いまさら何を驚く必要があるのか。下品な下心をおおっぴろげに近づいてきた連中と雲泥の差なのは、伝えるまでもない。けれど愛のささやきを待ち望む、この駄犬を無視も出来ない。
学生じゃないんだから、言葉にする必要もないと思っていたんだが。
「……中入ってんのが勃ってるかぐらいわかるだろ。限界だよ、俺も」
そんな簡単に目の色変えるなよ。動くより先に、キスしたくなる。
余裕なく絡み合った舌が、興奮を高ぶらせる。心臓なんてもう爆発寸前だ。
「ん、んん……っは、好き、大好き」
ああ、言葉にして聞いてみるもんだ。遥望の上擦った声の告白に、蜜の衝動が全身を覆う。甘く嚙み合いながら、腰を持ち上げたらもう止まらなかった。
今、この目の前の男を、心の底から犯してるんだと支配熱に浮かされる。
一突きごとに色めいた鳴き声が、理性の糸をじりじりと焼き切っていく。
「ぁあっん、イっきそ……んん、っあ、あ」
ゴリゴリと肉壁を擦る度に締め付けが強まる。
自分もそろそろ達しそうだと、速度を速める。
奥歯をぎりっと噛み締めながら、腰を打ち付ける。
「うっ、あ、やッ、だめ……っあ、ごめん、なさ……」
ぱたた、と腹に飛び散った生ぬるい液がなんなのか理解する前に高揚に溺れた。絶頂直後の快感に悲鳴に近い声を上げて跳ねる遥望に、より強くねじ込む。
奥に、奥に、と欲求が濃くなる。
「やっ、うあ」
暴れるように首を左右に振って、ぐっと喉仏を突き出しながら弓なりに仰け反る。腿がぎゅうっと胴体を締め付け、ぐりぐりと膝が揺れる。

