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微熱に疼く慕情
第11章 【普遍的な真理】

泣き崩れる姿に少なからず胸はチクチクしてる
こんな筈じゃなかったのにな……
ごめんね、どのみち傷付けてしまう
それほど私のした事は罪深い
わかっているけど……やめられないの
もう一種の病気だよ、こんなの
震える肩にも、髪にも、今は触れてあげれない
触れちゃいけない
何もしてあげれないの
落ち着くまで待つ事くらいしか……
「絶対に、手放さないで」
「え…?でも」
「もしかして、離れようとしてますか?僕たち、終わりですか?」
そんな捨てられた仔犬みたいな目で見られたら
どうしたら良いかわからなくなる
「一華さんが、離れられるんですか?」って
もう色の無い目
まさか、私が、この私が、樹くんに跪いて、
手を握り、愛を乞うなんて思いもしなかった
「離れられないから困ってるの、こんな私でも……まだ飼われてみる?ううん、これからも飼わせてください」
もし、答えがNOなら今度は私が泣き崩れる番だ
ドキドキしながら返事を待っていたら
ベッドから降りて抱き締められた
「僕、どんな一華さんでも愛し抜く自信あります……良かった、捨てられると思った」
何で、自分はそうしたのかよくわからなかった
いざ別れの時が来て、身体が、心が勝手に動いてたの
同じように心臓がバクバク鳴ってる
キミも怖かったんだね
失う怖さを一瞬で共有出来た
2人の出した答えは同じだったね
背中に手を回して抱き締め返す
「私も……愛してるよ、樹くん」
「僕の方が一華さんを愛してます」
「ずっとずっと可愛いワンコで居てね」
「はい…!だから捨てないで…!」
「捨てないってば」
必死に食らいついて乱れた前髪を直してあげる
相変わらず綺麗な目
笑い合ってキスして、しばらく離れなかった

