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第9章 ８月

手早く夕飯の用意をして、テーブルに並べ
悠馬が嬉しそうに話しかけて来る
週末母親が来る迄　不安は有るが
子供達は、外に遊びに出かけ　真っ黒な顔で
箸を動かし　康二は綾乃を伺うように
視線を送って来る、普段と変わらない顔で
子供達に声を掛け　康二に笑顔を向けた

翌日

子供達に朝食を食べさせ　着替えをして
化粧を始める　９時半にチャイムが鳴り
バックを抱え玄関を出た　黒塗りの大型の車が
制服を着た運転手がドアを開け　綾乃は
後ろの席に　隣家の主婦が　車に乗る
綾乃を見て来る、視線を合わせ会釈をすると
ドアを開け家の中へと入って行くのが見へ
車は走りだした

バックを握り締め　車窓の風景に目を送り
今日も・・・膝に乗せたバックを強く握った
車は郊外に　長い塀に並行して走り車は止まる

綾乃は財布を出そうとすると　運転手は
車から降りて　綾乃の座るドアを開けた

「　あの・・・　お代金は？　」
運転手が笑顔で

「　頂いておりますので　」
綾乃は　車から降りて呼び鈴を鳴らし
ドアを入ると　昨日見た大柄な男が
背中を見せ　部屋の中に　綾乃も慌てて
靴を脱ぎ　男の後を付いて行く