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心の中のガラスは砕けて散った
第9章 8月
綾乃は両の足を検診椅子の上の ガイドに乗せ
ガイドが大きく左右に開かれ 下着を履かない
下半身が老齢の医師の前に、医師は綾乃の膣を洗浄すると
クスコを使い中を検診した後 

「 直ぐに済むから 」

誰に聞かせるでもない 独り言の様に呟き
立ち上がり 小さなパッケージを手に持ち
また綾乃の前に座り。パッケージの封を切り
小さな金属を取り出した

安静にするようにと言われ 病院を出たのは
3時過ぎ 真夏の日差しが 容赦なく降り注いでくる
冷房の効いた部屋から 灼熱の路上に
遙の後を付き 5分程歩いただけで背中に汗が

遥は雑居ビルの中に入り エレベーターの中へ
綾乃が乗り込むと エレベーターは上昇を始め
5階でドアが開いた スチールドアが通路の
両脇に2つづつ 遥は正面のドアの前で立ち止まり
綾乃が後ろに立つのを見て ドアをノックする

「 遥君 久しぶりだな 」
部屋の中から しわがれた声が遥を迎え
遥と綾乃は部屋の中に 部屋の中壁一面
本棚が並び、乱雑に雑誌や書籍が
ビデオのカメラが三脚で固定され
部屋の中央に椅子が一つ 声の主は
窓際の椅子に座り 60代位か?痩せた男性が
遥に笑顔を見せ 綾乃を値踏みする様に
視線を送って来た

「 先生 成田綾乃さんです 」

「 沢入先生 」

遥が綾乃の背を押し 男性の前に

「 成田綾乃と申します 」

綾乃は自己紹介をして 頭を下げた

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