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心の中のガラスは砕けて散った
第8章 綾乃と綾
「 箪笥の中に、私の為で無い 他の男の為の下着を見た時
  早紀への気持ちが崩れたんでしょうね
私から心が離れて他の男へ・・・ 」
和彦の言葉に 和彦が訪ねた来た夜が蘇って来る

壮馬を悠馬を抱いている絵が破れて 散って
心の中のガラスに描かれた ウェディングドレス姿の私
ガラスにヒビが 縦に二人を割き
心の中のガラスの二人の姿に細かなヒビが走り
粉々に音を立てて 崩れ落ち 

・・・・ 残されたのは 漆黒の闇 ・・・・

闇の中を、歩き続けて今日まで、自分だけでは無かった
和彦が同じように苦しみ、藻掻いた今日までに
気が付き涙が浮かび、頬を流れ落ちて行く、
和彦の大きな手が背中に当てられ静かに動く

・・・・ ゴメンナサイ ・・・・

涙の目で和彦を見て、言った   

「 奥さんの 所為では無いですから 」
背中の手が優しく動く

「 早紀は 私とやり直したいと言って来たんですが・・・
  それは、子供の為、自分の心を殺して私に言って来たの
  判りましてね 彼女の目の奥を見た時・・・ 」
同じ事を呟き、綾乃の白い背中に当てた指先が 
微かに握られた
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