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第8章 綾乃と綾

店内が賑やかに成り客席が埋まり始め、
和彦は時計を見て手を上げウエイトレスが
傍まで寄って来た、二言三言ウエイトレスに
耳打ちして、ウエイトレスが立ち去り、
暫くすると、テーブルにナイフとフォークが
並べられ、直ぐにスープが運ばれてくる

「　お昼をご一緒にと思いまして　」
和彦がスープにスプーンを入れるのを見て
綾乃もテーブルのスプーンに手を伸ばし
スープを口に運ぶ　イセエビのクリームスープ
濃厚なエビの風味に目を丸くして

「　何時も　お昼は・・・　」
綾乃がスープを飲み終わって、脇にずらして
和彦を見ると、

「　何時もは、牛丼かハンバーガーですよ　
　　安月給のサラリーマンですから　」
笑い顔で綾乃を見て来た

イセエビのアメリカンソース、ステーキはレアに
あっさりとしたソースを絡め、咬むと肉汁が
口の中に広がって来る、　
食事の間に軽い話を振って来る和彦に
返事を返し、頬を緩め笑顔で返していた
食後綾乃は紅茶を頼み、和彦はコーヒーを
カップに紅茶を注ぎ、一口含んだ時
暫くぶりの食事・・・・　
　
和彦が来た夜以降、子供達に朝夕と、
食卓に料理を並べ、一緒の食事は、
味も分からないまま　機械的に食べ物を　
口に入れていた事を　思い出していた、