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心の中のガラスは砕けて散った
第8章 綾乃と綾
翌日 

綾乃はバスに乗り駅前に、バスを降りると
スーツを着た山田が目の前に立ち、綾乃を出迎え
会釈をした和彦が歩き始め綾乃も後ろをついて、
駅前のホテルのドアを和彦が、綾乃は入口で
少し躊躇した、和彦が奥へ歩く後ろを見て
ドアの中へ、和彦はフロントを通りすぎ
レストランの前で立ち止まり 綾乃が傍に
立ったのを見て、中へと入って行った
案内された奥の席に座り、初めて綾乃を見て
笑顔を見せ、綾乃も釣られて笑顔を返して

「 何でしょう、お話は? 」
前に座る和彦は、傍に来たウエイトレスに
注文を出そうとして、綾乃が紅茶をと言う言葉に
指を二本立て、ウエイトレスが席を離れ
綾乃に視線を向け

「 早いのですが、明日午後、社長と 
  面接をお願いしたいんですが 」

「 それは、構いませんが 何故、私なんです? 」

「 ご主人への、嫌がらせかな、私の働いている処に
  奥様が、私の紹介で勤め始めたら、心中穏やかでは
  無いでしょう 」
綾乃は前に座る、和彦の目の奥の光を見て視線を外し
頷いた、

「 7月・・・・・ 」
吐き捨てるように和彦が漏らし、綾乃は顔を見る

「 あの日から、全然仕事出来なくなりましてね 」
自嘲する言葉に、綾乃は頭を下げた

「 2週間 自分の部屋で・・・会話も全然 」
綾乃は頷き、謝罪の心で和彦を見つめた 
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