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心の中のガラスは砕けて散った
第8章 綾乃と綾
「 私の会社、今月ベテランの経理の方が
  退職するので、今急いで人を探している処なんです
  社長に頼まれて、奥さんとお会いした時
  多分若い時、事務員をしてご主人と知り合ったのだろうと
  思いまして、違います? 」
得意そうな笑い声を上げ、山田が言って来た事に
思わず綾乃は、笑い顔に成り受話器を握り直し

「 そんな・・・・ 」
暗い洞窟の中で、一筋の光を見た様な
笑いを忘れ 子供達と最低限の会話だけ
暗い毎日を過ごしていた中、掛けられた言葉
綾乃の心に温かい光が与えられ、忘れていた
明るい声を出して答えた

「 営業をやって、色々なお宅を伺うんで
  家の中を拝見して、色々と分かるんですよ
  結婚する前のお仕事とか、分かる時が
  有るんですよ、ご主人と知り合ったのは
  きっと工場だろうな、奥様の雰囲気だと
  現場ではない、きっと事務系のお仕事を
  そこでご主人と知り合って、
  結婚したのだろう、この間お話した時
  感じましてね、急に社長に事務員を探せと
  無茶振りされても、知り合いはいないし 」
笑い乍ら話す

「 それと・・・・ 」

「 それと? 」
綾乃は受話器を握り直し聞き返した

「 明日お時間御座います? 
  少しお話したいことが・・・ 」
綾乃は 受話器を持ち、躊躇した
山田が提案してきた事、話が有る
慰謝料の事なら、毎月どんな事をが有っても
綾乃は払う積りでいた 他にどんな話が

「 少しの時間なら お昼は空いてますが 」
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