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雨が好き
第75章 初詣

そんなおしゃべりをしながら並んでいると、遠くで空に余韻を残す鐘の音が響いているのに気付いた。
あれって・・・除夜の鐘?
除夜の鐘といえば、108つ鐘を鳴らして、煩悩を追い払う・・・だっただろうか?
蒼人さんも同じ鐘の音に気づいたみたいで、
「あの鐘の音聞くと、ああ、年越しだなあって思いますよね」
と言った。
「うん・・・私、実は除夜の鐘って、初めて聞いたかも」
紅白歌合戦と同じ。私にとってはこれも初めてのことだった。
「来年は、除夜の鐘、撞きに行きますか?」
今年はもう、こっちに来てしまったからダメだけれども、と蒼人さんが言った。
話によると、地元のお寺では、12月31日の夜に列に並べば、ひとり一回ずつ、除夜の鐘を撞かせてくれるということだった。
ゆっくりと時間が過ぎる。
並んでいる人たちがそわそわと時計を気にしだす。
12月31日の11時58分
『今年』が終わるまで、あと2分。
蒼人さんと出会えた年。私にとって特別な年。
そう思うと、なんだか胸がいっぱいになる。
そのいっぱいの思いを込めて、ぎゅっと蒼人さんの手を握った。
あれって・・・除夜の鐘?
除夜の鐘といえば、108つ鐘を鳴らして、煩悩を追い払う・・・だっただろうか?
蒼人さんも同じ鐘の音に気づいたみたいで、
「あの鐘の音聞くと、ああ、年越しだなあって思いますよね」
と言った。
「うん・・・私、実は除夜の鐘って、初めて聞いたかも」
紅白歌合戦と同じ。私にとってはこれも初めてのことだった。
「来年は、除夜の鐘、撞きに行きますか?」
今年はもう、こっちに来てしまったからダメだけれども、と蒼人さんが言った。
話によると、地元のお寺では、12月31日の夜に列に並べば、ひとり一回ずつ、除夜の鐘を撞かせてくれるということだった。
ゆっくりと時間が過ぎる。
並んでいる人たちがそわそわと時計を気にしだす。
12月31日の11時58分
『今年』が終わるまで、あと2分。
蒼人さんと出会えた年。私にとって特別な年。
そう思うと、なんだか胸がいっぱいになる。
そのいっぱいの思いを込めて、ぎゅっと蒼人さんの手を握った。

