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第74章 お礼参り

【お礼参り】

１２月３１日の夜半過ぎ
『みなと町』に集まった蒼人さん、水際さんと私は、二年参りにいくことになっていた。

『みなとさんとお参りに行きたいですね』
あのお泊りの朝、蒼人さんからそう言われた。
水際さんは一瞬遠慮しよう、という雰囲気を出してきたけれども、私が『水際さんも一緒に』というと嬉しそうな顔をしてくれた。

『みなと町』の二階、狭いリビングにあるテレビで、紅白歌合戦をみんなで見る。
お父さんが、年越しそばを茹でてくれた。

鶏肉に大き目に切ったおネギ
ほうれん草、かまぼこ、それから卵まで落としてある豪華仕様

「あ！このコ、今回紅白出てたんだ！」
「いやあ、お父さんの若いときからこの人いるけど、まだ現役なんだね」

優しい歌、楽しい歌
知らない歌も、知ってる歌も、みんなみんな
みんなでワイワイ言いながら、テレビを見る。

実は、私は紅白歌合戦、というのを初めて見た。
紅組が女の人で
白組が男の人だということも、
今日、初めて知った。