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雨が好き
第69章 いもうと
【いもうと】

「ずるい」
ずい、っと水際さんの顔が私に迫ってくる。
その迫力に押されて、私は少しのけぞってしまった。

今日はクリスマス・イブの午前中。
まだモーニングが出ているくらいの時間なのだけど、水際さんが『みなと町』に来ていた。
いつもは夕方以降に来ることが多いのだけど、今日は、この時間。
デパートで売り子さんをしている水際さんは、夜が遅くなることから、少し遅めの出勤なのだそうだ。

「クリスマスプレゼントだぞー!」
そう言って、水際さんがくれたのは、バックに付けるタイプの可愛らしいシルバーのチャームだった。
「雪だるま・・・かわいい・・」
それは、雪だるまとモミの木がセットになったような飾り。
今の季節にピッタリのチャームだった。

イブの日にプレゼント持っていっていい?
とは1週間以上前から予告されていたので、私もちゃんと交換用のプレゼントを用意してあった。

私が水際さんにあげたのも、ちょっと似ていた。
雪の結晶のような飾りのついたブローチ。
「わあ・・・すごい!素敵!」
そう言って、早速、身につけてくれた。
今日の水際さんはブラックのニットを着ていたので、胸につけるとまるで雪の結晶がこぼれたように見える。
つける位置なんかも一発で決めてしまえるの、やっぱりすごいな、と感じてしまう。
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