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女性のための犯され短編集
第22章 陰謀王子に犯される
式は滞りなく終わり、二人は馬車で王宮へ戻った。
初夜を迎える部屋には、豪奢な絨毯と、天蓋付きの大きなベッドが置かれている。
侍女たちが退室してようやく二人きりになると、王子は優しい声で令嬢を気遣った。
「ようやく二人きりですね」
「……ええ、そうですわね」
「今日はお疲れでしょう。ワインをお持ちしましょうか。それとも、軽い食事でも?」
彼女はソファの端に座り、事務的に応じていた。ニコリとも笑わず、視線を窓の外に向けた。
夜の庭園が……月の光に輝いている。
「結構ですわ。ご心配なく。王弟 殿下」
「……」
「いえ……失礼いたしました、殿下」
彼は一瞬、表情を曇らせたが、すぐに彼女の傍に座った。手を、そっと握ろうとする。
彼女はそれを避けて、ドレスの裾を直した。
「やはり貴女は……私との婚姻が不服なのですね」
彼の声には探るような響きがある。
彼女は冷静に答えた。
「そのようなこと有り得ませんわ。わたくしは幼き頃より皇女となるべく育てられてきた女です。この婚姻は…王家の血統を繋ぎ、国を安定させるためのもの。わたくしは、ただその義務を果たすだけです」
それに対して王子は静かに首を振った。
柔らかだった目元が、僅かに鋭く細まる。
「そうではないでしょう。私に向けられる貴女の目は、冷たい。笑顔ひとつとして見せてくださらない……。まるで、氷の彫刻のようだ」
彼女は、心臓が早まるのを感じた。だが、表情を変えなかった。

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