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天狐あやかし秘譚
第73章 動如雷霆(どうじょらいてい)
まずやられたのは鵺だった。
大弓を持った女が何事かをつぶやき、つがえた矢を放つ。矢は燃え盛る炎となって、鵺の持つ猿の額を貫いた。ギャンと、一声上げると、あっという間に全身が燃え上がり、鵺の身体が花火のように宙空に弾けた。

その鵺の上げた火花に照らし出される中、襲いかかった数多の妖魅たちが、ピタリと宙空にとどまった。目を凝らしてようやく分かるほどの細い糸に絡め取られている。その数多の糸は白ひげ白髪の男の持つ古代鏡から広がっているようだった。

鏡の男がニヤリと笑うと、蜘蛛の巣のような糸が一斉に青い光を放った。次の瞬間、絡めとられた妖魅たちが、音もなく細切れになって崩れ落ちていった。

雷獣は遠隔から雷を落としていた。その幾筋もの雷は確実に奴らを捕らえるはず・・・だった。が、紫色をした妙な髪の毛の女が、数珠を絡ませた両手を花のように広げ頭上に掲げると、奇妙なルートで雷が捩曲がり、襲いかかる他の妖魅達を直撃してしまう。

鏡男の糸や、捩曲がった雷をくぐり抜けた数少ない鎌鼬や猫又に、髪の長い女が符を押し付けた。符は青い炎を上げて燃え、その炎は次々と妖魅たちを焼き尽くしていった。

そして、最後に、笑いながら剣を携え飛び出していった糸目の男があっという間に残った妖怪たち切り裂いて回った。

20秒ほどで、全てが片付いてしまった。

冗談じゃない。
あんなの・・・敵いっこない。

クチナワの足はカタカタと震え、手は冷たくなっていた。
それほどまでに陰陽寮の精鋭たちの戦闘能力は凄まじいものだったのである。

今、俺は、野衾に包まれている。野衾の目眩まし効果で向こうからは視認されにくいはず。奴らはまだ俺に気づいていない・・・。
ここはやはり逃げるしか・・・

恐れをなしたクチナワが逃げようと、木の枝の上で踵を返そうとした矢先だった。

「みーつけた・・・のです」

背筋にゾクリとした悪寒を感じる。
後ろ・・・?

そう思った瞬間、ガン!と鈍器で頭を殴られたような衝撃を感じ、クチナワは意識を失った。

もし、その光景をはたから見るものがいれば、土門がクチナワの背後に忍び寄り、雷鎚の呪を放ったのが見えたことであろう。
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