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天狐あやかし秘譚
第73章 動如雷霆(どうじょらいてい)
確かに、空気がなにか変わった気がする。肌にビリビリ何かを感じるというか、違和感がある。私と瀬良は慌てて大鹿島のもとに走る。

大鹿島は背中にある弓を取り出して構え、ビン!と一度震わせた。

その音は周囲に広がり、空気の違和感が薄くなった気がした。
あれっていったい?

おそらく疑問符が浮かんでいたのだろう。瀬良が捕捉してくれた。

「あれは弦打という、簡易的な退魔法です。弓をかき鳴らす音は古代より悪鬼を駆逐する効果があると言われているんですよ」

そうなんだ・・・。

「空が・・・」
左前が空を仰いで呟いた。なにか生暖かい、腐臭を伴った風が吹き下ろしてくるのを感じて、私も空を見た。

先程まで星が瞬いていたはずの空に黒雲が立ち込めていた。時折ビシリと雷が空を横に走る。

「ほう・・・これも、あの蛇肩巾、の力か?・・・珍しいもん見せてもらえたな・・・なあ、大鹿島」
「ええ・・・あれはおまかせを・・・我が大鹿島家の仇敵です」

空の黒雲の一部が垂れ下がるように膨らんできた。
そこからなにかが這い出してくるように見える。

最初に足・・・まるで虎のようなネコ科の動物のもの
次いで身体・・・こちらは茶色い毛がびっしりと生えたクマともイタチともつかないようなもの
そして、ぬっと突き出した顔は猿のそれだった。

「な・・・何あれ!?」

「なんてこと・・・あれは・・・」
瀬良が驚きの声を上げる中、嬉々として続けたのは土門だった。

「素晴らしい!!鵺(ぬえ)なのです!」

暗雲立ち込める宵闇の中、異形の妖怪、鵺が不気味な咆哮をあげた。
その声に呼応するように、一斉に周囲の木々がざわめいた。いつの間にやら周囲にも異形の気配が満ちている。

「囲まれとるな」
左前が背中に背負っていたボディバッグから社会科の教科書で見たような昔の銅鏡に見えるものを構えた。

「大鹿島様!」
瀬良が何本かの矢が入った矢筒を大鹿島に渡し、自分は手に何枚かの符を持ち、構える。土門もまた、大振りな数珠のようなものを手に巻き付けていた。

陰陽寮の陰陽師たちの戦闘スタイルは様々である。
ある人は剣を、またある人は短刀を使う。

一見武器に見えないものを使う人もいる。
例えば宝生前が得意とするのは石でできた釘を使った呪術であるので、彼は石釘を武器とする。
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