この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第73章 動如雷霆(どうじょらいてい)

♡ーーーーー♡
【動如雷霆】行動を起こすときは雷のように激しく、勢いよくという意味。
『動くこと、雷霆の如し』みたいな。
♡ーーーーー♡
「みんな・・・」
捕縛されたカダマシを見上げる陰陽寮の人たちを見て、心底ホッとする。よかった、これでダリも・・・
って、そうだ!?
「ダリ!ダリが・・・あの男の手の中に!!」
早く助けないと!そう言うのだが、振り返った土御門は怪訝そうにする。
「ん?ダリはん?」
「そ・・・ダリは今、妖力が尽きかけてて、カダマシにさっきぎゅっと掴まれて、ぐったりしちゃって!早く!お願い!!早く助けて!!」
土御門にすがるようにその服の裾を掴む。今ならまだ、間に合うかもしれない!
「え?なんで?」
ところが、土御門は要領を得ないと言った風で、ぽかんとしている。
なんで・・・?なんでって?
なんでわかってくれないのよ!と、そう思った時、
「綾音よ」
ん?
失笑混じりの声がした。私の、後ろから・・・?
まさか?
ゆっくりと振り返ると、そこには、ボロボロの衣服はそのままだが、涼しい顔をしたダリが、何喰わぬ顔で立っていたのだ。
「な・・・なんで!!!」
ぽん、と、ダリが私の頭に左手を載せて、そのままグリグリと撫でてきた。
「それほどまでに我のことを心がけにしてくれるとは・・・嬉しいの」
もう一度、後ろを振り向く。
カダマシの手には確かにぐったりとしたダリが、口から血を流して握られたまま。
もう一度、前。涼しい顔をしたダリ。
まさか・・・まさか・・・!?
「狐は・・・人を誑かすものと、言うたであろ?」
ば・・・
心配したのに、めっちゃ泣きそうになったのに!!
必死だったのに!
それをお前はぁ!!!!
平気なら、平気だったのなら!!!
「バカヤロー!!早く出てこーい!!!」
私の怒りの絶叫が、静まりかけた森に木霊した。
【動如雷霆】行動を起こすときは雷のように激しく、勢いよくという意味。
『動くこと、雷霆の如し』みたいな。
♡ーーーーー♡
「みんな・・・」
捕縛されたカダマシを見上げる陰陽寮の人たちを見て、心底ホッとする。よかった、これでダリも・・・
って、そうだ!?
「ダリ!ダリが・・・あの男の手の中に!!」
早く助けないと!そう言うのだが、振り返った土御門は怪訝そうにする。
「ん?ダリはん?」
「そ・・・ダリは今、妖力が尽きかけてて、カダマシにさっきぎゅっと掴まれて、ぐったりしちゃって!早く!お願い!!早く助けて!!」
土御門にすがるようにその服の裾を掴む。今ならまだ、間に合うかもしれない!
「え?なんで?」
ところが、土御門は要領を得ないと言った風で、ぽかんとしている。
なんで・・・?なんでって?
なんでわかってくれないのよ!と、そう思った時、
「綾音よ」
ん?
失笑混じりの声がした。私の、後ろから・・・?
まさか?
ゆっくりと振り返ると、そこには、ボロボロの衣服はそのままだが、涼しい顔をしたダリが、何喰わぬ顔で立っていたのだ。
「な・・・なんで!!!」
ぽん、と、ダリが私の頭に左手を載せて、そのままグリグリと撫でてきた。
「それほどまでに我のことを心がけにしてくれるとは・・・嬉しいの」
もう一度、後ろを振り向く。
カダマシの手には確かにぐったりとしたダリが、口から血を流して握られたまま。
もう一度、前。涼しい顔をしたダリ。
まさか・・・まさか・・・!?
「狐は・・・人を誑かすものと、言うたであろ?」
ば・・・
心配したのに、めっちゃ泣きそうになったのに!!
必死だったのに!
それをお前はぁ!!!!
平気なら、平気だったのなら!!!
「バカヤロー!!早く出てこーい!!!」
私の怒りの絶叫が、静まりかけた森に木霊した。

