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天狐あやかし秘譚
第72章 侵掠如火(しんりゃくじょか)

☆☆☆
やった!カダマシだ!!
森からあがった獣のような咆哮は、クチナワのいるホテルにも伝わってきた。さっきの爆音はカダマシと狐男の交戦の音だったのだ。
よし、カダマシがいるなら、俺がやることはひとつだ。カダマシに合流して、狐男を殺し、女を奪還する。それに、カダマシと狐男がいるということは、どちらかが死返玉を持っているということだ。それを回収すれば、俺達の勝ち確定だ。
「野衾!」
クチナワの背中に黒い影のようなものが湧き上がる。それは巨大なムササビのような被膜を持った動物の形をしていた。ただし、その姿は通常のムササビの何倍もあり、また、目がランランと輝き、口元には鋭い牙があった。
妖怪、野衾。空を飛び、人を食らう獣の姿をした妖魅である。
呼び出された野衾はクチナワを器用に腕で抱えると、ふわりと宙空に浮かび上がっていった。その視線の先には、丁度、森の中から盛り上がるようにして現れた巨大なカダマシの姿があった。
「お!カダマシの『だいだらぼっち』だな?一気に勝負を決めようってことかい」
ニヤニヤと笑っているクチナワを抱え、夜の闇を滑るように野衾が飛んでいった。
やった!カダマシだ!!
森からあがった獣のような咆哮は、クチナワのいるホテルにも伝わってきた。さっきの爆音はカダマシと狐男の交戦の音だったのだ。
よし、カダマシがいるなら、俺がやることはひとつだ。カダマシに合流して、狐男を殺し、女を奪還する。それに、カダマシと狐男がいるということは、どちらかが死返玉を持っているということだ。それを回収すれば、俺達の勝ち確定だ。
「野衾!」
クチナワの背中に黒い影のようなものが湧き上がる。それは巨大なムササビのような被膜を持った動物の形をしていた。ただし、その姿は通常のムササビの何倍もあり、また、目がランランと輝き、口元には鋭い牙があった。
妖怪、野衾。空を飛び、人を食らう獣の姿をした妖魅である。
呼び出された野衾はクチナワを器用に腕で抱えると、ふわりと宙空に浮かび上がっていった。その視線の先には、丁度、森の中から盛り上がるようにして現れた巨大なカダマシの姿があった。
「お!カダマシの『だいだらぼっち』だな?一気に勝負を決めようってことかい」
ニヤニヤと笑っているクチナワを抱え、夜の闇を滑るように野衾が飛んでいった。

