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天狐あやかし秘譚
第72章 侵掠如火(しんりゃくじょか)
「げ!」

なんで跳躍を?と思って後ろを見た私は、乙女にあるまじき声を発してしまう。私達がつい数秒前に立っていたところに、ぶっとい針が何本も突き刺さっていた。

「山颪(やまおろし)か・・・いろいろなものを見せてくれる・・・」
ダリは余裕をかましているが、上空を見ると、先程飛び出してきた窓から無数の小型の動物が飛び出してくるのが見えた。

あれが痩せ男の使う神宝、蛇肩巾の能力!?
会議でもらった資料には、蛇肩巾の力は『小動物を召喚して操るものと考えられる』と説明されていた。でも、先程の『鎌鼬』と言い、針を飛ばしてくるこの『山颪』と言い、通常の動物ではない。そう言えば、私がさらわれる直前に御九里たちが戦っていたのは「爆発するネズミ」だった。

蛇だけではなく、動物型だったら現実にいない動物、妖怪すら操ることができるってわけ!?

小動物たちは身軽に地面に降り立つと、一斉にこちらに向かって飛びかかってくる。今夜は月がなく、星明かりしか光源がないが、どうやら、その半数は先程の『鎌鼬』、もう半数は背中に棘のあるサルとネズミの合の子のような動物だった。これが『山颪』なのだろう。

シャーー!!

奇妙な声を上げ、疾風の速度で鎌鼬たちが襲いかかってくる。ダリも速いが、鎌鼬たちも速い。さすが、風を起源とする妖怪だ・・・。

少し遅れて走ってきた山颪たちが飛び上がり、空中で背中を丸めるような仕草をする。なんだ?と思っていると、丸めた背中から飛び出たトゲがまるで機関銃のような勢いで発射される。

さっきのトゲもこういう仕組みで!?

近接で襲いかかってくるイタチと、飛び道具を駆使するサルネズミの攻撃を、ダリはひょいひょいと躱していくが、私としてはとてもじゃないけど生きた心地がしない。ダリは私の安全を最優先にということで逃げ出してきたのだけど、これって、これって・・・本当に逃げ切れるの!?

とにかく今、この状況で私にできることは、ダリにぎゅっとしがみついて振り落とされないようにすること、だけ、だった。
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