この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第71章 其疾如風(きしつじょふう)

☆☆☆
同時刻、島根県松江市から少し離れた山間にある廃ホテルの中、クチナワがごそりと寝床で目を覚ました。
ーああ・・・いけねえ、案の定眠っちまった。
結局風呂に入った後、麻衣にせがまれて寝床で絵本を読んでやったりした。やれやれ、これでやっと寝るだろうと思ったが、この廃ホテルがやっぱり怖かったらしく、ひとりで寝るのは嫌だとごねたのだ。しょうがないので、最初は横にいて手を握っていたのだが、そのうち自分も疲れてきてしまい、だったらとベッドの上で横になっていたら、本格的に眠ってしまった、というわけだった。
体を起こして、横を見る。
そこにはパジャマ姿の麻衣がすやすやと寝息を立てていた。ちらっと腕時計を確認すると、深夜の1時、寝かしつけたのが10時くらいだったから3時間も眠ってしまった。
ーせっせと働いているだろうカダマシに悪いことしたかな?
そこまで考えて、いや待てよ、と思い直す。
ーあいつがこんな深夜に真面目に玉探しているわけ無いか・・・。向こうさんだって、探すとしたら夜が明けてからだろう。今はあいつも寝てるか・・・。
ぐうっと伸びをする。俺もこのまま寝ちまおうか・・・。そう思ったが、グウと腹が鳴った。夜食でも食うか、と簡易の炊事場に割り当てた部屋に行く。流しと湯を沸かすための一口の簡易コンロ、それから電子レンジがあるだけのスペースだ。一応冷蔵庫もあるが、入っているのはビールだけだった。
それでも棚には一応カップラーメンがいくつかある。薬罐を火にかけ、適当に見繕ったカップ麺の包装紙を乱暴に破った。
ーああ・・・さっさと任務終わらせてうめえもんでも食いてえもんだ。
湯が沸き、ラーメンを作る。ちょいといい匂いがして、それを嗅いでいたらなおさら腹が減ってきた。食い終わって、小腹が満たされたので、さて、そろそろ本格的に寝るか、と思ったのだが、ふと女のことを思い出した。
ーそう言えば、もうかれこれ5時間くらい経ってるよな?
お館様からの指示はこうだった。
『女に夢を見せて、『僕』に犯させろ。僕の性奴隷として心を屈服させろ』
モミと裾張蛇を使えという指示だった。
同時刻、島根県松江市から少し離れた山間にある廃ホテルの中、クチナワがごそりと寝床で目を覚ました。
ーああ・・・いけねえ、案の定眠っちまった。
結局風呂に入った後、麻衣にせがまれて寝床で絵本を読んでやったりした。やれやれ、これでやっと寝るだろうと思ったが、この廃ホテルがやっぱり怖かったらしく、ひとりで寝るのは嫌だとごねたのだ。しょうがないので、最初は横にいて手を握っていたのだが、そのうち自分も疲れてきてしまい、だったらとベッドの上で横になっていたら、本格的に眠ってしまった、というわけだった。
体を起こして、横を見る。
そこにはパジャマ姿の麻衣がすやすやと寝息を立てていた。ちらっと腕時計を確認すると、深夜の1時、寝かしつけたのが10時くらいだったから3時間も眠ってしまった。
ーせっせと働いているだろうカダマシに悪いことしたかな?
そこまで考えて、いや待てよ、と思い直す。
ーあいつがこんな深夜に真面目に玉探しているわけ無いか・・・。向こうさんだって、探すとしたら夜が明けてからだろう。今はあいつも寝てるか・・・。
ぐうっと伸びをする。俺もこのまま寝ちまおうか・・・。そう思ったが、グウと腹が鳴った。夜食でも食うか、と簡易の炊事場に割り当てた部屋に行く。流しと湯を沸かすための一口の簡易コンロ、それから電子レンジがあるだけのスペースだ。一応冷蔵庫もあるが、入っているのはビールだけだった。
それでも棚には一応カップラーメンがいくつかある。薬罐を火にかけ、適当に見繕ったカップ麺の包装紙を乱暴に破った。
ーああ・・・さっさと任務終わらせてうめえもんでも食いてえもんだ。
湯が沸き、ラーメンを作る。ちょいといい匂いがして、それを嗅いでいたらなおさら腹が減ってきた。食い終わって、小腹が満たされたので、さて、そろそろ本格的に寝るか、と思ったのだが、ふと女のことを思い出した。
ーそう言えば、もうかれこれ5時間くらい経ってるよな?
お館様からの指示はこうだった。
『女に夢を見せて、『僕』に犯させろ。僕の性奴隷として心を屈服させろ』
モミと裾張蛇を使えという指示だった。

