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天狐あやかし秘譚
第70章 反転攻勢(はんてんこうせい)
そう考えると、事態が動くのは明日の朝から、ということだろう。
その頃にはいくらなんでも姉も回復している。そうすれば沖津鏡で戦況を把握、一気に今回の目的を果たす算段ができる、だろう。

「いえ・・・そろそろ今宵はお休みの時間かと」

抱いてほしいと顕にすれば、緋紅の機嫌を損ねてしまいかねない。ここはさり気ない体を装うのが吉だと考えた。

「ああ・・・そうだね。もうこんな時間か」

じっと緋紅がキヌギヌを見やった。内心、『やった!』と思うのだが、それを極力顔に出さないようにし、少しだけ目を合わせて伏せる。恥ずかしがっている、奥ゆかしい女、を演出する。

嗜虐性の高い緋紅の性格を読んでのことだった。

「キヌギヌ、スクセはどうしている?」
このまま閨に・・・という言葉を期待していたキヌギヌの思惑とはだいぶ違う言葉がかけられたことで、やや回答の時間にラグが発生する。

「あ・・・今は、別室で休ませております」

ふーん、と一言。

目を細めて、じっとキヌギヌを見つめてきていた。
キヌギヌの背中にじっとりと嫌な汗が滲む。

何?何をおっしゃりたいの?

「なんかさ、可哀想じゃない?そう思わないかい?キヌギヌ?」

キヌギヌは今、両手をついて、顔を伏せた状態で緋紅と向かい合っている。伏せていて、顔は見えていない。その状態で視線をあちこちに動かし、必死にキヌギヌは考えを巡らせていた。

なんて答えるのが正解なの?
『可愛そうだと思います』と言うべき?
それとも
『当然の報いです』と?
どっち?どっちをお館様はお望みなの?

迷っているうちに、はあ、とため息が聞こえ、その意味することを悟り、更に焦る。

「思う?思わない?どっち?」

嫌な汗が背筋を流れる。平伏した状態で首筋にも冷たい汗が流れているの感じた。

どっちが正解なの?
ぎゅっと目をつぶり、南無三、と答えを決める。きっと冷酷なお館様のこと、『報いです』の方だ、きっと、そう。

「あ・・・」
『当然の報いです』、そう、言いかけた時、そこに被せるように、緋紅が言葉を放った。

「可哀想なことしたよねえ・・・」

そ・・・そっち?

でも、これで答えは決まった。少しだけ息を整えて・・・。

「はい・・・そう思います」
「やっぱり?やっぱり君もそう思う?」
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