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天狐あやかし秘譚
第70章 反転攻勢(はんてんこうせい)

☆☆☆
「え?一体何!?」
気がつくと私は服を着た状態で無明の闇の中に立っていた。上も下も右も左も真っ暗闇。ただ、明かりがないというわけではなく、自分の体は見ることができた。
この服は・・・?
思い出した・・・。私は麻衣ちゃんを助けようとして、それで、押しのけられて・・・ヘビに掴まって・・・大きな手に・・・。その時、日暮さんたちと一緒に山に行った時の格好・・・
そうだ、私、敵に捕まったんだ。
さっきのは夢?
思い出して、左胸に手を当てる。何かゴロッとしたものがある。ブラウスのポケットに手を入れてみると、日暮さんからもらったアレキサンドライトが入っていた。
さっきの胸の痛み・・・
そう言えば、
『アレキサンドライトには身を守る力、姿を隠す力があるといわれている』
そう言っていた。
「あなたが、私を守ってくれたのね・・・」
きれいなその石を握りしめて呟いた。そして、同時に先程の夢を思い出して身震いをする。
なんて夢!
緋紅のことを自分の彼氏と思い、更に服従してもいい『御主人様』などと思わされてしまっていた。そして、この石がなければ私はあのまま夢の中で緋紅にいいように凌辱されてしまっていたに違いない。
げー・・・緋紅のアレ、飲んじゃったよ・・・
夢の中のことが現実の私の身体には影響していないと信じたいが、気持ち悪いものは気持ち悪いし、何よりも悍ましい。
吐き出した衝動に駆られるが、今はそれどころじゃない。
きっと、まだこれも夢だ。
それが証拠に、周囲はどこまでも広がる闇の世界だ。異界である可能性もあるけど、区別はつかない。とにかくどっかに閉じ込められたままであることには変わらない。
早く、こっからでなくちゃ。
ダリは私がどこにいても駆けつけてくれるが、例外がいくつかある。それがこんなふうに異界に閉じ込められている時、それから、私が声を出せないときだ。
どちらにせよ、このアレキサンドライトの加護が働いているうちになんとかしなくてはいけない。
他の装備品は・・・
周囲を見たけれども、バックパックを見つけることはできなかった。あれがあれば、宝生前さんの『石針』や土門さんからもらった『護符』が使えるんだけど・・・。
それとも大人しく救助を待つしか・・・
「え?一体何!?」
気がつくと私は服を着た状態で無明の闇の中に立っていた。上も下も右も左も真っ暗闇。ただ、明かりがないというわけではなく、自分の体は見ることができた。
この服は・・・?
思い出した・・・。私は麻衣ちゃんを助けようとして、それで、押しのけられて・・・ヘビに掴まって・・・大きな手に・・・。その時、日暮さんたちと一緒に山に行った時の格好・・・
そうだ、私、敵に捕まったんだ。
さっきのは夢?
思い出して、左胸に手を当てる。何かゴロッとしたものがある。ブラウスのポケットに手を入れてみると、日暮さんからもらったアレキサンドライトが入っていた。
さっきの胸の痛み・・・
そう言えば、
『アレキサンドライトには身を守る力、姿を隠す力があるといわれている』
そう言っていた。
「あなたが、私を守ってくれたのね・・・」
きれいなその石を握りしめて呟いた。そして、同時に先程の夢を思い出して身震いをする。
なんて夢!
緋紅のことを自分の彼氏と思い、更に服従してもいい『御主人様』などと思わされてしまっていた。そして、この石がなければ私はあのまま夢の中で緋紅にいいように凌辱されてしまっていたに違いない。
げー・・・緋紅のアレ、飲んじゃったよ・・・
夢の中のことが現実の私の身体には影響していないと信じたいが、気持ち悪いものは気持ち悪いし、何よりも悍ましい。
吐き出した衝動に駆られるが、今はそれどころじゃない。
きっと、まだこれも夢だ。
それが証拠に、周囲はどこまでも広がる闇の世界だ。異界である可能性もあるけど、区別はつかない。とにかくどっかに閉じ込められたままであることには変わらない。
早く、こっからでなくちゃ。
ダリは私がどこにいても駆けつけてくれるが、例外がいくつかある。それがこんなふうに異界に閉じ込められている時、それから、私が声を出せないときだ。
どちらにせよ、このアレキサンドライトの加護が働いているうちになんとかしなくてはいけない。
他の装備品は・・・
周囲を見たけれども、バックパックを見つけることはできなかった。あれがあれば、宝生前さんの『石針』や土門さんからもらった『護符』が使えるんだけど・・・。
それとも大人しく救助を待つしか・・・

