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天狐あやかし秘譚
第68章 多情多恨(たじょうたこん)
☆☆☆
実は、その後の記憶はあまりない。あまりない、というか、あまりにも同じような毎日の繰り返しだったから記憶に残るほどのことがなかったというのが正しいような気がする。

気がつくと俺は知らない屋敷の中にいた。
屋敷は日本式のもので、廊下と正方形の畳敷きのいくつもの部屋で構成されていた。俺には一つの部屋があてがわれ、そこで好きに過ごしていいと言われた。

できないことが三つあった。
ひとつめは、外に出たり、行くなと言われた部屋に行くこと。
ふたつめは、外の情報を知ること。
みっつ目は、自分の姿を見ること。

屋敷の外に出ることは許されなかった。俺を助けた男が言うには『君を失うわけには行かないから』だそうだ。俺は、それを『外に出たら警察に捕まるから』と解釈していた。

母親を殺していた、からだ。

同じように、外のことを知ることも許されなかった。テレビやインターネットなどはもちろん使えなかったし、新聞などもダメだった。他のもの、例えば本を読んだり、ネットワークに繋がっていないゲームなどで遊ぶことは許可されていたし、望めば勉強をすることもできたが、外の情報を得ることは全くできなかった。

ちなみに、生活上のことだが、俺にはひとり、人形のような整った顔の女性がつけられた。彼女はいわゆる神社の巫女のような姿をしていたが、普通の巫女が白地に赤が入った着物を着ている所、その女の服は白地に青だった。こちらから問えば、話はしてくれるし、食事や生活上必要なものなどはそいつが運んできてくれていた。

屋敷には窓がない。一応『巫女』があちこちに明かりをつけたり、消したりしているので昼夜の区別は付くし、夜になると夜具が用意され寝るように促されるので毎日の生活はそれなりに規則正しくしていたと思う。

最初はボーゼンと無為に過ごしていたが、次第にここが安全であると分かると、色々としたくなった。マンガやゲームなどを要求したりもした。『巫女』は俺に何かをするように言うことはなかった。

あと、屋敷にはいくつか『入ってはいけない』とされる場所があった。巫女が言うには、あるところは『お館様の部屋』だから、あるところは『危険だから』などが理由だった。
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