この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第128章 悲歌慷慨(ひかこうがい)
緋紅は最初からすべてを分かっていたに違いない。藤塚の家に神宝があることや、その家の双子の姉妹がそれぞれ神宝の適合者であることを。

だからこそ緋紅は、巧妙に彼女らを孤立させ、その孤独に付け入って、姉妹の心を手に入れたのだ。そしていつしか、二人は緋紅を取り合うように愛するようになっていった。

でも・・・、

『その娘の『処分』は任せたよ』

あの緋紅の言い方に『愛』など一片もなかった。

もしかしたら、緋紅は、彼女らが嫉妬し合う様子すら楽しんでいたのではないか・・・そんなことが頭をよぎる。

もし、それが本当なら、そんな空っぽの愛に焦がれて沖津鏡を使用し、結果、生命を失う羽目になった水無のことを思うと、胸が詰まる思いがした。

「もう、ゆこう・・・」

ダリの手がそっと私の肩に触れた。その手の感触と言葉で、ハッと我に返る。そこではじめて私は自分が涙を流していることに気がついた。

いけない・・・

そう思って、前髪を整えるふりをして、さり気なく涙を指で拭った。

こんな顔してたら、きっとダリを傷つけてしまうだろう。
そうでなくても、人を殺めてしまったということで、今回、彼もまた、あれこれ気にしている様子を見せていたのだ。

「あ、・・・ごめん・・・うん、行こうか」

私は色々な思いを無理やりにでも飲み下して、その場を立ち去ることにした。

最後にもう一度後ろを振り返る。
そこには、ただ冷たい墓石が黙って佇んでいるだけだった。
/1916ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ