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天狐あやかし秘譚
第128章 悲歌慷慨(ひかこうがい)
緋紅は最初からすべてを分かっていたに違いない。藤塚の家に神宝があることや、その家の双子の姉妹がそれぞれ神宝の適合者であることを。
だからこそ緋紅は、巧妙に彼女らを孤立させ、その孤独に付け入って、姉妹の心を手に入れたのだ。そしていつしか、二人は緋紅を取り合うように愛するようになっていった。
でも・・・、
『その娘の『処分』は任せたよ』
あの緋紅の言い方に『愛』など一片もなかった。
もしかしたら、緋紅は、彼女らが嫉妬し合う様子すら楽しんでいたのではないか・・・そんなことが頭をよぎる。
もし、それが本当なら、そんな空っぽの愛に焦がれて沖津鏡を使用し、結果、生命を失う羽目になった水無のことを思うと、胸が詰まる思いがした。
「もう、ゆこう・・・」
ダリの手がそっと私の肩に触れた。その手の感触と言葉で、ハッと我に返る。そこではじめて私は自分が涙を流していることに気がついた。
いけない・・・
そう思って、前髪を整えるふりをして、さり気なく涙を指で拭った。
こんな顔してたら、きっとダリを傷つけてしまうだろう。
そうでなくても、人を殺めてしまったということで、今回、彼もまた、あれこれ気にしている様子を見せていたのだ。
「あ、・・・ごめん・・・うん、行こうか」
私は色々な思いを無理やりにでも飲み下して、その場を立ち去ることにした。
最後にもう一度後ろを振り返る。
そこには、ただ冷たい墓石が黙って佇んでいるだけだった。
だからこそ緋紅は、巧妙に彼女らを孤立させ、その孤独に付け入って、姉妹の心を手に入れたのだ。そしていつしか、二人は緋紅を取り合うように愛するようになっていった。
でも・・・、
『その娘の『処分』は任せたよ』
あの緋紅の言い方に『愛』など一片もなかった。
もしかしたら、緋紅は、彼女らが嫉妬し合う様子すら楽しんでいたのではないか・・・そんなことが頭をよぎる。
もし、それが本当なら、そんな空っぽの愛に焦がれて沖津鏡を使用し、結果、生命を失う羽目になった水無のことを思うと、胸が詰まる思いがした。
「もう、ゆこう・・・」
ダリの手がそっと私の肩に触れた。その手の感触と言葉で、ハッと我に返る。そこではじめて私は自分が涙を流していることに気がついた。
いけない・・・
そう思って、前髪を整えるふりをして、さり気なく涙を指で拭った。
こんな顔してたら、きっとダリを傷つけてしまうだろう。
そうでなくても、人を殺めてしまったということで、今回、彼もまた、あれこれ気にしている様子を見せていたのだ。
「あ、・・・ごめん・・・うん、行こうか」
私は色々な思いを無理やりにでも飲み下して、その場を立ち去ることにした。
最後にもう一度後ろを振り返る。
そこには、ただ冷たい墓石が黙って佇んでいるだけだった。

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