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天狐あやかし秘譚
第127章 有為転変(ういてんぺん)
☆☆☆
ぶわん
空間が震え、縦に裂ける。そこから気を失った状態でキヌギヌが転がり出てきた。その後からひょいと緋紅が現れる。
屋敷の最奥、緋紅がいつもいる『奥の間』に鬼道を繋いだのだ。もちろん、繋いだのは緋紅だった。
その手には八握剣と沖津鏡、辺津鏡があった。
体力の消耗を覚悟すれば、一度にいくつもの鬼道を開くことも可能なのである。そうしてあの場にいたキヌギヌと神宝を一気に回収したというわけだった。
「もうひとりはどうした?」
座った状態で部屋の壁にもたれて腕を組んでいたオキナが緋紅に問うた。まだ体力の回復が十分じゃないのかもしれない。いつものような余裕は影を潜めていた。
「ああ、あれかい?・・・うん、死んだよ」
ふん。オキナは鼻を鳴らすようにした。一見、緋紅のことを小馬鹿にしているようにも感じられるが、緋紅自身がそれを気にしている様子がなかった。
「お前、分かってたんだろ?」
「分かってたって?」
「あいつが自分の死ぬところを見たってことを」
「あ、・・・ああ」
「じゃあ、なんでひとりで行かせた?」
緋紅は少し考えるような素振りを見せた。だが、オキナには分かっていた。別にそんなに深くは考えてないということを。
極めてシンプルなのだ。この男の考えることは。
「大和の民が死のうが生きようが、関係ないだろ?
天狐を道連れにすればそれも良し、そして無駄死にでも、まあ、僕には関係ない」
そして、最後に、「これはあんたが僕に教えたことだろう」
そう付け加えた。
ぶわん
空間が震え、縦に裂ける。そこから気を失った状態でキヌギヌが転がり出てきた。その後からひょいと緋紅が現れる。
屋敷の最奥、緋紅がいつもいる『奥の間』に鬼道を繋いだのだ。もちろん、繋いだのは緋紅だった。
その手には八握剣と沖津鏡、辺津鏡があった。
体力の消耗を覚悟すれば、一度にいくつもの鬼道を開くことも可能なのである。そうしてあの場にいたキヌギヌと神宝を一気に回収したというわけだった。
「もうひとりはどうした?」
座った状態で部屋の壁にもたれて腕を組んでいたオキナが緋紅に問うた。まだ体力の回復が十分じゃないのかもしれない。いつものような余裕は影を潜めていた。
「ああ、あれかい?・・・うん、死んだよ」
ふん。オキナは鼻を鳴らすようにした。一見、緋紅のことを小馬鹿にしているようにも感じられるが、緋紅自身がそれを気にしている様子がなかった。
「お前、分かってたんだろ?」
「分かってたって?」
「あいつが自分の死ぬところを見たってことを」
「あ、・・・ああ」
「じゃあ、なんでひとりで行かせた?」
緋紅は少し考えるような素振りを見せた。だが、オキナには分かっていた。別にそんなに深くは考えてないということを。
極めてシンプルなのだ。この男の考えることは。
「大和の民が死のうが生きようが、関係ないだろ?
天狐を道連れにすればそれも良し、そして無駄死にでも、まあ、僕には関係ない」
そして、最後に、「これはあんたが僕に教えたことだろう」
そう付け加えた。

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