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天狐あやかし秘譚
第127章 有為転変(ういてんぺん)
私のため?・・・は?何言ってるの
この時の私の目はえらく冷たいものだったと思う。汚れたものを見るような、そんな目つきだったに違いない。
そう、私は知ってるもの。だって・・・
「お姉ちゃんの心の中、そんな気持ち、ひとつもなかったわよ」
そうだ、あれだけ覗いた姉の心の中は、自分がいかに緋紅様に愛されるか、自分がいかに得をするか、そんなのばかりだったじゃない。
「醜い心、嫉妬心、それが姉が死んだ理由。
愚かな女にふさわしい最後!」
そして、これで私はひとりだ。
この世でたったひとりの私。
生まれて初めて、何でも独り占めできる!
含み笑いはいつしか笑みに、そしてついに哄笑に至る。
こんな、こんな楽しいことはないじゃない!
バシン!
頬が熱くなった。それが、目の前の女に頬を張られた痛みだと気づくのに時間がかかった。
綾音だ。目からはボロボロと涙を流していた。
「そんな言い方・・・なんでそんな言い方ができるの!?」
だが、その涙すら私には滑稽に思えてならなかった。
浅いんだよ、人間理解が。
人は一皮むけば自分のことしか考えてない。
あんただってそうだろう。
「とにかく、あなたを拘束します」
辺津鏡が取り上げられ、私の腕もまた縛り上げられていく。これで終わりかと頭がくらくらした。
その時・・・
ぶわんと私のすぐ横に空間の裂け目が現れる。バランスを崩した私はそこに吸い込まれるように落ち込んでいった。
「ダメだよ、陰陽寮・・・この娘は僕の大事な大事な・・・夜伽相手なんだから・・・」
空間の裂け目の向こう。緋紅様の声が響いていた。
ああ、助かった。
そして、緋紅様の声が怒っていないことに、そして『私』を選んでくれたことに、私は心底、安堵したのだった。
この時の私の目はえらく冷たいものだったと思う。汚れたものを見るような、そんな目つきだったに違いない。
そう、私は知ってるもの。だって・・・
「お姉ちゃんの心の中、そんな気持ち、ひとつもなかったわよ」
そうだ、あれだけ覗いた姉の心の中は、自分がいかに緋紅様に愛されるか、自分がいかに得をするか、そんなのばかりだったじゃない。
「醜い心、嫉妬心、それが姉が死んだ理由。
愚かな女にふさわしい最後!」
そして、これで私はひとりだ。
この世でたったひとりの私。
生まれて初めて、何でも独り占めできる!
含み笑いはいつしか笑みに、そしてついに哄笑に至る。
こんな、こんな楽しいことはないじゃない!
バシン!
頬が熱くなった。それが、目の前の女に頬を張られた痛みだと気づくのに時間がかかった。
綾音だ。目からはボロボロと涙を流していた。
「そんな言い方・・・なんでそんな言い方ができるの!?」
だが、その涙すら私には滑稽に思えてならなかった。
浅いんだよ、人間理解が。
人は一皮むけば自分のことしか考えてない。
あんただってそうだろう。
「とにかく、あなたを拘束します」
辺津鏡が取り上げられ、私の腕もまた縛り上げられていく。これで終わりかと頭がくらくらした。
その時・・・
ぶわんと私のすぐ横に空間の裂け目が現れる。バランスを崩した私はそこに吸い込まれるように落ち込んでいった。
「ダメだよ、陰陽寮・・・この娘は僕の大事な大事な・・・夜伽相手なんだから・・・」
空間の裂け目の向こう。緋紅様の声が響いていた。
ああ、助かった。
そして、緋紅様の声が怒っていないことに、そして『私』を選んでくれたことに、私は心底、安堵したのだった。

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