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天狐あやかし秘譚
第126章 九死一生(きゅうしいっしょう)
血が地面に落ちたのと、同時だった。スクセが絶叫するようにダリの名を呼ぶ。そして、残りの命すべてを燃やし尽くすほどの勢いで、その力を爆発させた。
「ダリ!」
『零』・・・と言おうとした御池は、自身の背後から聞こえた声に身体を硬直させた。
――いけない!
思った時は遅かった。背後から綾音が手に矢を持って駆け出していく。御池は咄嗟に手を伸ばすが、もう少しというところでその服の裾を掴むことはできなかった。
「行くなぁ!!!」
叫んでも、時すでに遅しだった。綾音は結界を抜け、その手に持った矢を直接スクセに突き刺さんばかりに襲いかかる。
矢に刻まれた呪紋が綾音の呪言により発動し、木気の術のひとつを発動する。矢が放電するように周囲の空間に紫電を放ち、それが彼女の拳にまとわりつく。
木気の術のひとつ、術者に雷をまとわりつかせ、肉体の力を高める近接戦闘用の術式。
「木気・雷公檄!」
バチンと雷が弾け、綾音の拳が紫に発光した。
「ダリィっ!!!」
一瞬、スクセが綾音の方に目をやる。しかし、それが自身に対して脅威にはならないことも同時に理解していた。
雷公檄はそれなりに強力な術ではあるが、それは通常の敵に対してはの話である。今、綾音の目の前でぶつかり合っているのは神にも等しい力同士だ。そこに干渉するほどの力があろうはずもない。
「失せろ!」
ほんの少しだった。スクセが綾音の方に気を向けただけで、ぶつかり合う力の一部が紫電をまとった拳を振りかざす綾音に純粋な力場となって襲いかかる。
バチン!という破裂音とともに、グシャリと骨が砕けるような不気味な音がいやにはっきり聞こえた。そして、そのまま綾音の身体は物理法則に反したような動きで水平に吹き飛ばされていく。
「なんて・・・早まった真似を!」
御池が色を失う。
同時にそれを横目で見ていたダリが舌打ちをした。
ダン、ダン、ダン・・・
綾音の身体がボロ切れかなにかのように地面を転がり、そのまま背後の崖から転がり落ちていく。
それを見たダリが目を見開く。その腕に込められた力が緩むのを感じ、スクセは、ここで何が起こったのかを理解した。
そうだ、そうだったんだ・・・。
――行ける!
スクセは確信した。『まだ夜が明けていないから自分は死なない』
確かに綾音はそう言った。
「ダリ!」
『零』・・・と言おうとした御池は、自身の背後から聞こえた声に身体を硬直させた。
――いけない!
思った時は遅かった。背後から綾音が手に矢を持って駆け出していく。御池は咄嗟に手を伸ばすが、もう少しというところでその服の裾を掴むことはできなかった。
「行くなぁ!!!」
叫んでも、時すでに遅しだった。綾音は結界を抜け、その手に持った矢を直接スクセに突き刺さんばかりに襲いかかる。
矢に刻まれた呪紋が綾音の呪言により発動し、木気の術のひとつを発動する。矢が放電するように周囲の空間に紫電を放ち、それが彼女の拳にまとわりつく。
木気の術のひとつ、術者に雷をまとわりつかせ、肉体の力を高める近接戦闘用の術式。
「木気・雷公檄!」
バチンと雷が弾け、綾音の拳が紫に発光した。
「ダリィっ!!!」
一瞬、スクセが綾音の方に目をやる。しかし、それが自身に対して脅威にはならないことも同時に理解していた。
雷公檄はそれなりに強力な術ではあるが、それは通常の敵に対してはの話である。今、綾音の目の前でぶつかり合っているのは神にも等しい力同士だ。そこに干渉するほどの力があろうはずもない。
「失せろ!」
ほんの少しだった。スクセが綾音の方に気を向けただけで、ぶつかり合う力の一部が紫電をまとった拳を振りかざす綾音に純粋な力場となって襲いかかる。
バチン!という破裂音とともに、グシャリと骨が砕けるような不気味な音がいやにはっきり聞こえた。そして、そのまま綾音の身体は物理法則に反したような動きで水平に吹き飛ばされていく。
「なんて・・・早まった真似を!」
御池が色を失う。
同時にそれを横目で見ていたダリが舌打ちをした。
ダン、ダン、ダン・・・
綾音の身体がボロ切れかなにかのように地面を転がり、そのまま背後の崖から転がり落ちていく。
それを見たダリが目を見開く。その腕に込められた力が緩むのを感じ、スクセは、ここで何が起こったのかを理解した。
そうだ、そうだったんだ・・・。
――行ける!
スクセは確信した。『まだ夜が明けていないから自分は死なない』
確かに綾音はそう言った。

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