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天狐あやかし秘譚
第123章 籠絡掌握(ろうらくしょうあく)
だから、適合者を作る・・・ことが試みられた。

神宝には、それぞれが求める『心の形』があるという。
本来は、そのような形を持った人を探すことになるのだが、なかなか見つけがたいのだ。

ここで発想を逆転させる。
『人の方をその形に合うように変えてはどうか』

その実験の末、やっと神宝『道返玉』に適合したのが『河西佳苗』という女性である。

道返玉が求めていた『心の形』は『破滅への欲望』だった。
だから、それを作り出すために、水有の辺津鏡で『洗脳』した男たちに、河西を輪姦させ、拭いきれないほどの肉体的な快楽を刻み込んだ。

案の定、逃れることができない肉体の変化から、河西は道返玉を受け入れるに相応しい心の形を宿すことになる。

彼女は道返玉を使って鬼道を開き、数多の女怪を招き寄せることに成功したのだ。

ただ、ここで陰陽寮が邪魔に入る。

正式名称、宮内庁陰陽寮

緋紅様はその存在をすでにご存知だったようだったが、私たちはこの時初めて知ることになる。まさに『大和の民』たちを守ることを目的として作られた部隊・・・私たちの敵対組織と言えるものだった。

そして、その中でもあらゆる場面で私たちの邪魔をしてきたのが『天狐ダリ』だった。河西佳苗の一件の時も、疱瘡神を暴走させようとしたときも、黄泉平坂を溢れさせようとしたときも、あと一歩というところで、いつも天狐が私たちの目論見の邪魔をした。

緋紅様は『まあ、想定の範囲内だよ。だいたいうまく言っている』とは仰っていたが、100%の成功でないことは確かであり、そのたびに彼の機嫌は少し悪くなった。

それは見ていて忍びないものだったのだ。

私は密かに、自分の沖津鏡の力なら、陰陽寮の全員とは言わなくても、その大部分を屠ることはできるのではないかと自負していた。

なので、何度も緋紅様に沖津鏡を使って陰陽寮に打撃を与えるという作戦について具申をしてきた。

しかし、緋紅様はそれを了承なさらなかった。
その理由は、『強い者の運命を固めようとすれば、スクセに障る』というものだった。私としてはお役に立てれば、そんなことはどうでも良かったのだ・・・。

しかし、許されないことはすることができない。

だからじっと耐えてきたのだ。
あの時までは・・・。
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