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天狐あやかし秘譚
第123章 籠絡掌握(ろうらくしょうあく)
ほとんどの『従者』はこうして作られ、全国に散らばり神宝の情報を集める仕事に当たらせた。そして、神宝やその適合者になりそうな人の候補が見つかると、私たちや、時には緋紅様が現地に赴き、神宝の捜索に当たることになる。

数年経つと、仲間である神宝使いが増えていった。

足玉をもたらし、その使い手でもあるイタツキ
蜂肩巾の使い手であり、緋紅様が見つけ出してきたシラクモ
同じく、蛇肩巾の使い手であるクチナワ
『従者』の一人によって見出され、生玉の使い手となったカダマシ

などだった。

私たちが知らない『仲間』も増えていく。
その筆頭が、口がきけない謎の巨漢であるヤギョウだった。
ヤギョウが屋敷に来た辺りから、緋紅様は『女』を屋敷に『飼う』ようになった。

「大和の民の女を攫(さら)ってくるんだ。彼女らは贄だ。
 新しい世界を作るための人身御供となってもらう」

このときまでに、私たちの頭の中は、世界が『本来のこの国の主たる中原の民』と『それを不当に奪った卑劣な大和の民』という二元論で理解されるようになっていた。

『大和の民』の女がどのようなひどい目にあっても、それは自分たちとは関係ないことであり、むしろ正しいことであるとすら思うようになっていたのだ。

屋敷の地下に広大な『牢獄』が作られ、女たちとそれを監視する『看守』が置かれるようになった。この頃から、水有の辺津鏡だけでは『従者』たちを管理しきれなくなる。

もともと、緋紅様は『従者』を恐怖で縛り付けているところもあった。彼にとって、ただの『大和の民』である『従者』の命は非常に軽いものだった。だから、その命を奪うことに何の痛痒も覚えていなかった。

ほんの些細な失敗や反抗をした『従者』の首を八握剣で即座に刎ねる。
その姿は残った『従者』たちをして、緋紅様に従わせるのに十分な恐怖をもたらすことになった。

こうして、次第に『屋敷』は拡大し、緋紅様の『計画』は順調に進展していくことになる。十分な神宝が手元に揃った段階で、緋紅様はいよいよ計画の本丸であるところの、『日本を手に入れる』段階にコマを進めることにしたようだった。

そのために、実験もなされた。
日本を手に入れるためには、神宝を使える適合者がもっと多く必要だった。しかし、神宝の適合者を見つけるのはとても骨が折れることなのだ。
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