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天狐あやかし秘譚
第120章 十網九罠(じゅうもうきゅうわ)
温かい彼の手が私のそれを包み込む。ゆっくりと私の震えが収まるのを待って、ふたつの手で私の手を大きく包み込むようにする。そして、じわじわと力を込めてくる。
それはまるで私を世界に繋ぎ止めてくれる優しく温かい絆のように感じられた。
「僕が怖いかい?水無」
緋紅に言われて、首を振る。
「そう・・・良かった。ね、ほら感じてみて。・・・手、触れると、温かいだろ?」
私は頷いた。
「恐ろしい人に無理やり握られても、僕が今しているみたいに怖くない人にそっと握られても、水無の身体は同じ体温を感じてしまうんだ・・・感じてしまうのは水無のせいじゃない。身体ってそういうものなんだ・・・。わかるかい?だから、自分を責めるのはもうおやめ・・・」
緋紅が言いたいことは分かった。
父に無理やり犯されて感じたとしても、それは生理的な反応であって、決して自分の体がおかしいわけじゃないんだ・・・そう言ってくれているのだ。
「でも・・・」
それでも私の心の頑なな部分はまだ解けきれないわだかまりを残していた。
あのときお風呂場で母が見た私は、確かに汚れていたのだ。そして母は後に私のことを『父を寝取った娘』と言った。
そうだ、そうなんだ。
私の本性は・・・やっぱり・・・。
「もしかして、自分がとても性にだらしない・・・悪い女、みたいに思っていないかい?」
緋紅の言葉はまさに今、私が考えていることそのものだった。
「う・・・えっと、はい・・・」
「それも違うよ・・・君が受けたのはレイプだ・・・君の意志じゃない。水無・・・君は知る必要がある。本当に優しい交わりがこの世にあるということを・・・」
繋いだ手にギュッと力がこもるのを感じた。
「え・・・それ・・・」
どういう意味・・・?と聞くために、彼の方に顔を向けた。
思ったより近くに彼の顔があり、どきんと心臓が跳ねた。
「水無・・・僕とキスをしないか?
僕は無理にすることはしない。
君が選んでいいんだ。
君の準備ができるまでゆっくり待つよ。
君は今、キスをしてもいい。
しなくてもいい。
無理やりじゃないっていうのはこういうことだ。
君の意志が大事なんだ・・・。
君が自分から心を開いていいと思える人に、君の意志で口づけをするんだ・・・」
それはまるで私を世界に繋ぎ止めてくれる優しく温かい絆のように感じられた。
「僕が怖いかい?水無」
緋紅に言われて、首を振る。
「そう・・・良かった。ね、ほら感じてみて。・・・手、触れると、温かいだろ?」
私は頷いた。
「恐ろしい人に無理やり握られても、僕が今しているみたいに怖くない人にそっと握られても、水無の身体は同じ体温を感じてしまうんだ・・・感じてしまうのは水無のせいじゃない。身体ってそういうものなんだ・・・。わかるかい?だから、自分を責めるのはもうおやめ・・・」
緋紅が言いたいことは分かった。
父に無理やり犯されて感じたとしても、それは生理的な反応であって、決して自分の体がおかしいわけじゃないんだ・・・そう言ってくれているのだ。
「でも・・・」
それでも私の心の頑なな部分はまだ解けきれないわだかまりを残していた。
あのときお風呂場で母が見た私は、確かに汚れていたのだ。そして母は後に私のことを『父を寝取った娘』と言った。
そうだ、そうなんだ。
私の本性は・・・やっぱり・・・。
「もしかして、自分がとても性にだらしない・・・悪い女、みたいに思っていないかい?」
緋紅の言葉はまさに今、私が考えていることそのものだった。
「う・・・えっと、はい・・・」
「それも違うよ・・・君が受けたのはレイプだ・・・君の意志じゃない。水無・・・君は知る必要がある。本当に優しい交わりがこの世にあるということを・・・」
繋いだ手にギュッと力がこもるのを感じた。
「え・・・それ・・・」
どういう意味・・・?と聞くために、彼の方に顔を向けた。
思ったより近くに彼の顔があり、どきんと心臓が跳ねた。
「水無・・・僕とキスをしないか?
僕は無理にすることはしない。
君が選んでいいんだ。
君の準備ができるまでゆっくり待つよ。
君は今、キスをしてもいい。
しなくてもいい。
無理やりじゃないっていうのはこういうことだ。
君の意志が大事なんだ・・・。
君が自分から心を開いていいと思える人に、君の意志で口づけをするんだ・・・」

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