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天狐あやかし秘譚
第118章 一落千丈(いちらくせんじょう)
父『母さんたちはどうしている?』
  私『元気にしてるよ』
父『荷物を送れと言われたけど、弁護士事務所にと言われている』
  私『そうなんだ』
父『今、お前たちはどこにいるんだ?』

一瞬、『ババの家だよ』と打ちかけて、手が止まった。母は父に住所を教えていない・・・ということは、知られたくないと思っていることを意味する。

躊躇していたら次のラインが来た。

父『母さんは電話にも出ない。全部弁護士を介せと・・・』
父『父さんは、母さんとお前に直接謝りたいと思っているけど、その機会を与えてくれない』

手が震えた。もしこれで、お父さんがお母さんと私に謝ったら・・・関係は戻るのだろうか?母に相談するべきだろうか?

その瞬間、私と父の交わりを見たときの母の顔がフラッシュバックしてきた。ぎゅっとお腹の奥が苦しくなり、ブンブンと頭を振る。

ダメだ・・・母は絶対『連絡するな』と言うに決まっている。
でも・・・

父『水無、頼む・・・父さんはお前たちを失いたくないんだ・・・』
父『水無』
父『水無!』

私が鏡を覗き込んだから
私が父に抵抗しなかったから
私が母に見つかるようなところで父を受け入れたから

指先が冷たくなる。

私がみんないけなかった。
みんなが不幸になったのは、全部私のせい・・・

父はきっと嘆いている。後悔して、藁にもすがる思いでこんなラインを送ってきたんだ・・・。でも・・・。

まだ葛藤があった。

  私『住所、知ったらどうするの?』
父『誠心誠意、謝るよ』
父『もし、それでダメなら・・・母さんの決断を受け入れる』
父『父さんはそれほどのことをしたというのは、分かってる』
父『水無にも謝りたい』

息を呑んだ。迷いに迷う。
隣で眠っている水有の顔を見た。

どうする・・・べきなの?
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