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天狐あやかし秘譚
第114章 天道是非(てんどうぜひ)
「つまり、見ようと思った時、見ようと思ったことしか見れない?」
「そうです。だから、注意して近づくことで、沖津鏡を奪う・・・もしくは無力化することは可能だと思われます。たとえそれが、敵が罠を張っているところだったとしても・・・です。」

御九里が目を細める。
宝生前も口元に手をやって思案顔になった。

部屋に沈鬱な空気が広がった。

「行くしかねーか・・・」
「そうですね。綾音さんにばかり負担を押し付けられません」
御九里と宝生前が口々に言う。

「私も・・・」
御池も続こうと口を開くが、宝生前がたしなめた。

「御池さんは、こちらに残って我々と京都支部間の調整役をお願いします・・・戦うために行くわけではありません。潜伏、調査・・・そして、可能であれば神宝の奪取が目的です。」

宝生前が画面に目を向ける。
画面には高森の他に、土御門、御九里の上司である祓衆の衆長の左前、そして、宝生前の上司である祭部の衆長、大鹿島も映っていた。

「私と御九里とで鞍馬山に調査をかけます。ダリさん、綾音さん、御池さんはこちらで待機。高森様たち図書衆(ずしょしゅう)には引き続き文献調査を依頼したいです。あとは・・・」

パチン、と画面上にもう一つの顔が浮かぶ。
占部の衆長、土門だ。

「私たち、占部衆ももちろん協力するのです!
 というか、今もうすでに、回収した神宝の内、危険度が高い死返玉を除く二つ「生玉」と「蛇肩巾」については解析を始めているのです。先程、高森さんが言っていた『制限』を明らかにしてやりますから!」

最後に土御門が口を開く。

「まずは綾音はんの命を救う方法を全力で探す。
 さらには、神宝『沖津鏡』の確保・・・これが最優先や・・・
 敵は神宝使い、一筋縄ではいかへん。御九里、宝生前・・・くれぐれもむりはするな」

行くなとは言わない。
多分それは、宝生前や御九里の覚悟を、土御門が感じ取ったからだろうと思われた。

こうして、単によく当たる占い師の謎を解くというミッションだったのが、私の命・・・いや、もしかしたら陰陽寮に所属するあらゆる陰陽師の命を左右しかねない大きな話へと変貌していった。

任務のフェーズはここで大きく変わることになったのだった。
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