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天狐あやかし秘譚
第114章 天道是非(てんどうぜひ)
『従者』とは、緋紅が統べるこの屋敷の使用人の総称である。緋紅の気まぐれでいつ殺されるかわからない彼らは、常にその存在を消そうと努めているので、普段、この屋敷には生きている者は、緋紅のほかはキヌギヌやスクセのような『神宝使い』のみしかいないかのように感じられる。
そんな従者たちだったが、こうして緋紅に呼ばれれば即座に馳せ参じなければならない。当然、遅れれば、緋紅の機嫌次第では即死である。
襖の向こうから現れた従者は無個性の着物を身にまとい、平身低頭の構えである。
「ああ、キミ。申し訳ないがスクセを閨に運んでくれないか?」
「はっ!」
緋紅の言葉に従者がかしこまる。すぐに更に3人の従者が現れて、ぐったりとしているスクセの身体を抱きかかえたまま、緋紅の部屋の右手にある閨に運び込んでいった。
「緋紅さま・・・?」
緋紅が従者に命じた言葉を聞いて、キヌギヌがなおさら戸惑う。
今日は、スクセがあの状態であれば、当然自分が閨で緋紅のお相手・・・夜伽(よとぎ)をすることになると思っていたからだ。
「ああ、キヌギヌ、今日はもう部屋に下がっていいよ。」
キヌギヌの返事が若干遅れたことをどう解釈したのだろうか、緋紅が続けた。
「ああ、スクセのことなら心配しなくてもいいよ。
僕のために今日は頑張ってくれたからね。・・・僕が様子を見るから。」
じゃあね・・・
そう言って、緋紅もまた、スクセが待つ閨に消えていった。
あとには、床に手をついて頭を下げるキヌギヌがひとり残される。
その手が小刻みに震えていることを、緋紅はもちろん承知していた。
そんな従者たちだったが、こうして緋紅に呼ばれれば即座に馳せ参じなければならない。当然、遅れれば、緋紅の機嫌次第では即死である。
襖の向こうから現れた従者は無個性の着物を身にまとい、平身低頭の構えである。
「ああ、キミ。申し訳ないがスクセを閨に運んでくれないか?」
「はっ!」
緋紅の言葉に従者がかしこまる。すぐに更に3人の従者が現れて、ぐったりとしているスクセの身体を抱きかかえたまま、緋紅の部屋の右手にある閨に運び込んでいった。
「緋紅さま・・・?」
緋紅が従者に命じた言葉を聞いて、キヌギヌがなおさら戸惑う。
今日は、スクセがあの状態であれば、当然自分が閨で緋紅のお相手・・・夜伽(よとぎ)をすることになると思っていたからだ。
「ああ、キヌギヌ、今日はもう部屋に下がっていいよ。」
キヌギヌの返事が若干遅れたことをどう解釈したのだろうか、緋紅が続けた。
「ああ、スクセのことなら心配しなくてもいいよ。
僕のために今日は頑張ってくれたからね。・・・僕が様子を見るから。」
じゃあね・・・
そう言って、緋紅もまた、スクセが待つ閨に消えていった。
あとには、床に手をついて頭を下げるキヌギヌがひとり残される。
その手が小刻みに震えていることを、緋紅はもちろん承知していた。

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