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天狐あやかし秘譚
第114章 天道是非(てんどうぜひ)
☆☆☆
鴨川沿いにある京料理屋『梅むら』。有名人が常宿としていた・・・などという触れ込みもあるくらいだから、その昔は宿屋でもやっていたのだろうか?と思わせるような佇まいだった。

「本当は川床料理なので、川の上に張り出した座敷で食べるのがいいんですけどね、なにせ昨今暑いですから・・・」

御池がそんな言い訳をしていた。確かに京都駅から支部が用意した車に移動するまでの間、ものすごく暑かった。なんというか、東京の暑さとは質が違う感じだ。

『京都は盆地で、空気が動きにくいからでしょう』

そんな説明を宝生前がしてくれた。そんな感じなので、外で食べるのはあまり推奨されてない。私たちが仲居さんに案内されたのも趣のある和室だった。ガラス窓から鴨川が見えるし、それだけでも十分涼しげだった。

運ばれてきたのはランチとは言え、さすがの品揃えだった。
京料理の先付けに湯豆腐、そしてお天ぷらにお造り。土鍋で給されるご飯がつややかでとても美味しそうで、最後にはフルーツ・・・いわゆる水菓子まで出されるみたいだった。

これ・・・ランチとは言え、一体いくらだ?

貧乏が板についてしまっている私は、ついそんな事を考えてしまう。

「さすが京都支部ですね」
宝生前が言う。
「ま、パトロンがいっぱいいますからね」
御池がそれに応えた。

「え?どういうこと?」
要領を得ない私に御九里が説明をしてくれた。

「京都支部ってのは、実際んところ、本庁より歴史があるんだ。
 御所が京都にあったときは、むしろこっちが本部だったわけだし」

歴史と伝統がある京都支部は地元の有力者とのつながりが強いのだそうだ。それ故、京都支部に配属されるのは、本庁に配属されるのと同じくらいの権威というか、アドバンテージがあるらしい。むしろ、家柄を重視される分、東京に配属されるよりハードルが高いかもしれない、というのが御九里の言い分だった。

そんなわけで、ここ京都支部には、お上から支給される予算以外に地元の有力者からの寄付や支援が手厚く集まるそうで、要は使えるお金が潤沢にあるらしいのだ。

土御門も、今の『助の一位』の位をもらう前には、ここ京都で支部長を務めていたらしい。
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