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天狐あやかし秘譚
第113章 第113章:【第22話 件】運否天賦(うんぷてんぷ)
☆☆☆
8月に入ったばかりのある日。
陰陽寮の古い窓ガラスを、先程から降りだした夕立が激しく叩いていた。まるでホースで水でもかけられてるんじゃないと思うほど次から次と降りしきる雨粒は、精製が不十分な歪んだ板ガラスに奇妙な水の紋様を刻み込んでいた。
時折、空が光り、少し遅れて雷鳴が轟く。
落ちることがないと分かっていても、それなりにびっくりはする。
先日、東北支部管内で発生した冥穴損壊事案の事後処理について土御門に対して報告していた瀬良の言葉は、彼にかかってきた電話によって途中で遮られる形になった。
最初はいつものように軽い調子で話していた土御門の眉間に皺が寄る。
ああいう時はなにかよくない報告を受けたときだと、瀬良は長年の経験で分かっていた。なので、じっと立ったままの姿勢で電話の終わりを待つ。
「ああ・・・さよか、うん・・・わかった・・・それ以上は?
まだか?・・・しゃーないな・・・京都支部の方は?ふーん・・・なら、こっちから人寄越すさかい。んじゃ・・・引き続き調べてな?ん、ああ・・・分かった、見とくわ・・・んじゃな」
土御門がガチャリと受話器を置いた。
「京都からですか?」
「ん・・・ああ、烏丸(からすま)からや・・・なんや妙な話なんよね・・・」
「どういうことでしょう?」
「ああ、ここ1ヶ月、京都でめちゃ当たるっていう占い師が急に人気を集め始めたんだと」
「はあ、占い師ですか?」
占い師で、それほどなにか問題があるというのだろうか?
聞いた限りでは大したことではないような気がする。
だが、烏丸は京都支部長を任されている陰陽博士だ。そんな人間がわざわざ部門長である土御門に直接連絡してくるのだから、ただ事ではないのは確かだと思われた。
「ほんまかどうか知らんけど、百発百中なんだとか」
「眉唾ですね」
瀬良は即座に切り替えした。
「まあ、普通はそう考えるわな・・・
だが、何人もの人が実際に『当たった』と証言しとるらしい。
中には親族が死ぬ言われて、実際に死んだいう例もあったんやと。
しかも時間と死因まで正確に・・・」
「・・・」
8月に入ったばかりのある日。
陰陽寮の古い窓ガラスを、先程から降りだした夕立が激しく叩いていた。まるでホースで水でもかけられてるんじゃないと思うほど次から次と降りしきる雨粒は、精製が不十分な歪んだ板ガラスに奇妙な水の紋様を刻み込んでいた。
時折、空が光り、少し遅れて雷鳴が轟く。
落ちることがないと分かっていても、それなりにびっくりはする。
先日、東北支部管内で発生した冥穴損壊事案の事後処理について土御門に対して報告していた瀬良の言葉は、彼にかかってきた電話によって途中で遮られる形になった。
最初はいつものように軽い調子で話していた土御門の眉間に皺が寄る。
ああいう時はなにかよくない報告を受けたときだと、瀬良は長年の経験で分かっていた。なので、じっと立ったままの姿勢で電話の終わりを待つ。
「ああ・・・さよか、うん・・・わかった・・・それ以上は?
まだか?・・・しゃーないな・・・京都支部の方は?ふーん・・・なら、こっちから人寄越すさかい。んじゃ・・・引き続き調べてな?ん、ああ・・・分かった、見とくわ・・・んじゃな」
土御門がガチャリと受話器を置いた。
「京都からですか?」
「ん・・・ああ、烏丸(からすま)からや・・・なんや妙な話なんよね・・・」
「どういうことでしょう?」
「ああ、ここ1ヶ月、京都でめちゃ当たるっていう占い師が急に人気を集め始めたんだと」
「はあ、占い師ですか?」
占い師で、それほどなにか問題があるというのだろうか?
聞いた限りでは大したことではないような気がする。
だが、烏丸は京都支部長を任されている陰陽博士だ。そんな人間がわざわざ部門長である土御門に直接連絡してくるのだから、ただ事ではないのは確かだと思われた。
「ほんまかどうか知らんけど、百発百中なんだとか」
「眉唾ですね」
瀬良は即座に切り替えした。
「まあ、普通はそう考えるわな・・・
だが、何人もの人が実際に『当たった』と証言しとるらしい。
中には親族が死ぬ言われて、実際に死んだいう例もあったんやと。
しかも時間と死因まで正確に・・・」
「・・・」

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