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天狐あやかし秘譚
第110章 機略縦横(きりゃくじゅうおう)
西園寺様がかたわらのレポートを一枚、一枚とめくっていく。

「和羽は1年ほど前から時弥と関係があった」
「和羽と時弥って・・・え?だって・・・」
「そ、異母兄弟」
「それって・・・近親相姦ってこと!?」
「そうなるね」

テーブルの上で、ジョーカーとハートのクィーンが重なり合う。

「どうしてそういう関係になったかまではまだわからないけど、時弥はだいぶ惚れ込んでいたらしい。彼は公正証書を残したんだ・・・そこには、『自分が家督を継いだ際には、和羽を養子として迎える』とあった。つまり、自分が勝てば愛する和羽を大武の家から追い出さずに済む、そう考えたんだ」
「でも!それじゃあ、結局負けたんだから関係ない・・・」
「いや、証書にはもう一つの約束も書かれていた。それは『自分が相続争いから何らかの理由で脱落した際には、自身の売上を和羽のものとして計上する』ということだった」
「そんな・・・」

売上3位の時弥、4位の和羽・・・二人を合算すれば・・・

重なった二枚のカードが一気にスペードのエースを追い越した。
そして、ジョーカーがはらりと場から外にこぼれ落ちる。

「和羽の・・・一人勝ちだ」
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